「国王陛下ー! 国王陛下ー!」
「なんだ。うるさいな」
メルティーヌが暴れ回ったティモルト王国では、臨時で離宮で業務が行われています。
「し、ししし、しん」
「しん、なんだ?」
「新ミリュー王国からお手紙がぁ!」
「なんじゃと!??」
“ ティモルト王国国王陛下。
いつもティモルト王国と我が国の友好関係の維持に努めてくださり、ありがとうございます。
新ミリュー王国王妃ツリアーヌ・フェイジョアでございます。
先日、ティモルト王国の方から地響きが聞こえました。噂によると、嵐が王宮に直撃したと伺っております。皆様も王宮も、無事でいらっしゃいますか?
またぜひお会いする機会を楽しみにしておりますわ。
貴国のますますのご発展をお祈り申し上げます。
ツリアーヌ・フェイジョア”
「な、な、な、ひぃぃぃ!」
手紙を受け取り、目を通したティモルト王国国王は、放り捨てた。
「なんと恐ろしい文面でしょう。全て知った上で、警告を促しているようにしか見えません!」
「ツリアーヌ・フェイジョアは本当に恐ろしい女ですよ、国王陛下!」
文官たちが口々に騒いでいる中、女性の声が響いた。
「何を騒いでいるの? ……手紙?」
「王妃陛下!」
拾った相手は、王妃でした。
「……あなた。だから、わたくしが言ったでしょう!? あの国に手を出すのはやめておきなさいと! あなた、いい加減になさい! 国王なんだから。まったく……」
王妃はブチギレながら、ツリアーヌへの返事を国王にしたためさせるのでした。
「知っているか? 新ミリュー王国のツリアーヌ・フェイジョア王妃はものすごい怪物らしいぞ」
「俺は、ツリアーヌ・フェイジョア王妃のお抱えのメイドが怪物だって聞いたぞ!」
「「どちらにせよ、新ミリュー王国とのツリアーヌ・フェイジョア王妃に関わると危険なことに違いないだろう」」
「ふーん。ツリアーヌ・フェイジョアね」
文官たちの噂話を、陰でこっそり聞く者が一人。
「面白そうだね。会ってみたいな」
ツリアーヌがティモルト王国に訪問するとなったら、ティモルト王国国王と王城のほとんどの者は、震えで使い物にならないだろう。