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第55話:三層、異変

 昼食を終えてちょっと休憩した後、三層へ向かう。地図は庄司さんが持ってくれているので安心をしているが、自分もちょっと地図が気になるので受付で地図を買い、一層から三層までの地図を入手する。なるほど、ここのダンジョンはこうなっているのか……一層から三層まではこれで方向感覚さえ間違えなければどうやら迷わず帰れるような道筋ではあるな、と確認した。


「さて、午後からは二層を回りつつ三層へ向かいます。三層ではゴブリンしか出ないはずので、ゴブリンの種類には様々ありますが、ゴブリンマジシャンが顕著ですかね。遠距離から魔法を打ってくるのはこいつとゴブリンアーチャーぐらいなので特に注意する点はこの二つになりますが」


「どっちも戦ったことはあるがあの時は四人だったからな。今回は三人だから上手いこと攻撃を回避しながら戦わないといけないか」


 シゲさんが思い出しながら、三層や四層で戦っていたころのことを口に出す。


「場合によっては俺が攻撃しなくても倒せなきゃいけないケースが出てくるだろうから、その時は諦める方向性で行こう。無理に金を狙って怪我するよりは怪我しないことが第一だからな」

「そうだな、盾役も居ないし無理に全部を魔石に変える必要もないし、俺も久々の戦いになるからいくつか取りこぼしや気付きの遅れがあってもおかしくはねえ。五郎さんの言う通り、まずは殲滅することを念頭に入れていこう」


 庄司さんにもその方針で問題ないだろうというお墨付きももらったことで、早速一層から二層までスルーし、二層から三層まで行く間に連携の再確認。庄司さんが上手くカバーリングしてくれていることで確実に魔石を拾って帰ることが出来ている。ここの二層は入り組んだところに入り込まなければ問題なく三層までの道が確保できるらしいと地図には描いてある。


 いきなり三層へ入ってこのまま戦いを続けるのも問題ないだろう、ということで、二層から三層も真っ直ぐ進む。道中に現れたモンスターもきっちり魔石を落とさせることで、たとえ三層でうまくいかなくても二層に戻ればこの間ぐらいの稼ぎは得られるだろう。


 入り込んだ三層も変わらず洞窟風のマップだった。ここからはゴブリンマジシャンが出て来る。特徴としては、火と土の魔法を使って攻撃してくる。石礫を打ち出してくるロックバレットと、火の玉を出してくるファイヤボールが主な攻撃手段だ。どっちも回避することで最小限のダメージで済むし、盾役がいれば盾が木製出ない限りはそれほど脅威にはならない。


 早速三曹に潜って庄司さんの指示の元、モンスターを探す。二分ほど歩いたところで最初のモンスターが出てきた。ゴブリンマジシャンが一匹だけうろついている。声を出さずに庄司さんが指を立て、閉じ、一気に駆け出して止めを刺そうということになった。


 五、四、三、二、一、今。一斉に飛び出した三人にゴブリンマジシャンは驚き、すぐさま詠唱を開始するがこっちが近寄るほうが早かった。ゴブリンマジシャンの肩に槍を突き刺し確実なダメージを与えると、そのままシゲさんがゴブリンマジシャンをバッサリ切りにかかる。庄司さんは止めを刺し切れなかったための保険だが、今回は使わずに済んだ。


 ゴブリンマジシャンの魔石は他のとちょっと色が違い、鈍く赤く輝いている。それなりに強いモンスターとして認識されているんだろう。買い取りも高そうなそれをきっちりバッグにしまい込むと、周辺を確認して次のモンスターを探しに行く。


「この調子なら問題なく三層も回れそうですね。五郎さんの探索者証明書も三層までは行けるように申請をし直すことにしましょう」


 これでまた一つパーティーが組みやすくなるな。三層まで潜れる老人がいるとなると、二層までは絶対に安全に潜れるというお墨付きがついたようなものだろう。


 そのままモンスターを探しながら三層を巡る。ゴブリンマジシャンとゴブリンアーチャーという厄介な組み合わせにも出会ったが、アーチャーの弓のターゲットを取りながら回避し続けてくれた庄司さんのおかげで先にマジシャンを倒してその後アーチャーに集中する、という戦い方で無事に戦闘を終えることが出来た。


 そして、二層で出てきたソードゴブリンやシールドゴブリンもこの三層では出るらしく、様々なゴブリンが出て来る、という表現は正しかったらしい。


 あと、ホブゴブリンがたまに出現するという話だったが、昨日のうちに討伐は完了しているらしく今日出る可能性は非常に低い、ということだった。


 だった。しかし、予定は未定ということだったのだろう。庄司さんがスキルでホブゴブリンの出現を発見した。


「昨日の今日でホブゴブリンが出現するのは通常あり得ません。もしかするとこれはあふれの予兆である可能性があります。戻って急いで報告する必要があります。戻りましょう」

「緊急性が高いということですね。惜しいですが三層から撤退して外に戻り、受付に報告をする義務がある、ということですか? 」

「その通りです。ホブゴブリンの異常出現や四層に出てくるモンスターの出現などがその予兆になりますが、今回はホブゴブリンの出現、ということになりますがもしかするとオークも出現しているかもしれません。どちらにしろ、このパーティーで対応できる相手ではないと判断します。お二人ともよろしいですね? 」


 シゲさんと顔を合わせ、庄司さんに向かって頷く。三人そろって帰り道を急ぐ。しかし、戻りの道で二層に戻る手前で湧きなおしたモンスターが行く手をふさいだ。本来ならここでは出るはずのないモンスター。


 人間と同じ色の肌を持ち、二足歩行で大きな肉体を持ち太い首と豚のような顔を持つ、それはオークと呼ばれていた。


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