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第51話:仲間探し

「ところでなのですが、探索者事務所で仲間を探して見つける、と言ったことは可能なのでしょうか」

「一応パーティーとして活躍している方々はそれぞれで連絡を取っているのは確かですが、それ以外の人だと探索者事務所に顔を出してこんなことが出来ますからパーティーとして一緒に組みませんか、と事務所で募集している人はいますね。それに混ざって募集をしてみるのもいいと思います。魔石が100%落ちる話は……まあ話半分で聞かれるでしょうけどちゃんと戦えることは探索者事務所としても保証するだけのものが探索者証明書なので、その点は安心して良いと思います。ただご年齢のほうがアレなので……ちょっと厳しいかもしれませんね」


 やはり年齢制限にひっかかる、ということか。流石にこんな爺さんが二層でちゃんと活動できる、と主張しても、いざダンジョンに入って腰を痛めて探索どころじゃない、なんてことになったらと考えられる可能性はある。

「まあ、何とかやってみますよ。何ともならなくなったらまた相談しに来ます。現状はそんな感じでいいですかね」

「そうですね。せっかく新しい生活にも慣れてきたところでしょうしそれでやってることが同じ……ということでちょっと気になってはいるんですが、野田さんはそれで大丈夫なんですか? 」


 井上さんが気にかけてくれている。マツさんにお願いされた以上最後まで面倒見る、という気概があるのかもしれない。それならなおさら若いもんに世話になる訳にはいかないな。


「それじゃ、パーティー募集のお知らせだけでもお願いして良いですか。固定したパーティーで魔石を集めるにしても、まずは顔を売らないといけないでしょうし」

「わかりました。こちらで手はずを整えておきますよ。今日はお疲れ様でした。もしかしたら二日遅れぐらいで疲れがくることもあるかもしれませんから、体には注意しておいてくださいね」

「それはもう、いい年ですから。それでは失礼します」


 よっこらしょっと立ち上がり、ゆっくり探索者事務所を出る。ここにはもしかしたら毎日お世話になるかもしれないんだし、朝パーティーメンバー探しをして昼までとか、昼から探しに行くとか、色々都合がいいように使われるかもしれないがこちらにはスキルではない絶対的な美味しい体質があるってことさえ広まればメンバー探しには困らないといいなあ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 side:井上


 さて、松井さんはとんでもない爆弾をこちらへ放り投げてくれたもんだな。スキルではなく体質で、つまり生まれ持った……いや、ダンジョン災害が始まったあの日からかもしれない。モンスターに一撃入れれば魔石が必ず落ちると言ったこれまでにないレアな探索者候補を送り込んでくれたことになる。


「あのおじいさん、信用して良いんですかね? 」


 鑑定を受け持ってくれた梅田さんが心配そうに書類仕事を手伝ってくれている。野田さんのパーティー募集の張り紙を作る文面を色々考えていたところで、攻撃に参加すれば魔石が必ず落ちる体質の持ち主です、と書くか、それともスキルとして書くか。悩みどころではある。


「少なくとも松井さんが抱え込んでいた懐刀である可能性はあったね。もしかしたら一緒に残ってほしかった人たちの筆頭だったかもしれない。彼さえいれば松井さんの利益は大層なものになっていただろうからね。実際彼らを引き取りに行った際に色々確認はしてたけど、それほど困窮した様子には見えなかったし、あの人の活躍でかなり楽が出来ていたんじゃないかな、と思うね」


 梅田さんは松井さんのゲルにも同行したので内情はほどほどにわかっている。もしかしたら野田さんの体質にあの時点で気づけなかったのも、スキルではなかったからなのかもしれない。


「しかし、ダンジョン体質とでも言えばいいのかな。モンスターを傷つけるだけで魔石が確定で落ちるというのはどういう論理で出来ているんだろうね。似たような例がないから判断がつかないや」

「彼は我々にとっても利益ある人になるでしょうし、これでご老体でなければ第一線で活躍できる貴重な人材であったことは確かでしょうね」

「そうだな……とりあえず庄司さんは事情はわかってることだろうし、もし二人が暇なら二人で出かけるように声をかけておいたほうがいいかな」

「最悪でも二人で活動できる、というのは間違いないようですし、それがマストとまでは言いませんが、一人で活動するよりも効率的に動いてくれるならそのほうがいいでしょうね」


 庄司さんの都合にもよるが、暇なときは介護ではないが野田さんの相手をしてもらう。そういう流れに持っていくなら充分ありだとは考えられるが……


「野田さん以外であの時同時に保護された老人たちで、探索者活動をしてる人のリストが欲しいな。もしかしたらうまく連携を取ってもっと深くまで潜れるようになるかもしれない。そうでなくても彼にポーターを一人つけて確実に資源回収を行えるだけの人材が欲しいところだね」

「こちらもカツカツですから都合よく見つかるかどうかはわかりませんが……暇そうにしていてそのまま認知に問題が出そうな人物がいたら一緒に潜らせる、というかたちでどうでしょう。負担を軽減するという方向性でも活動はできるようになるとは思いますが」

「そうだな。その線でちょっと探りを入れてみるか。彼のスキル……っと、体質か。それは寝かせておくにもあまりにも惜しい。それなりの時間でそれなりの評価が出来るという点でも大きいし、確実にモンスターを退治するという点でも戦力はいくらあっても困らない。彼もせっかくやる気になってくれているんだし、その思いは出来るだけ汲み取ってあげないとね」


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