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ファミレスにて

 ある日の放課後。涼香りょうか涼音すずねはファミレスに来ていた。


「見なさい涼音! ロボットが料理を運んできたわ!」


 料理を置く段が四つある、円柱型の配膳ロボットが二人の座るテーブル席へとやって来る。


「そーですね」


 嬉しそうな涼香に対して涼音は、それがどうした、とでも言いたげな様子だった。


「素っ気ないわね」


 肩をすくめる涼香を放って、涼音は届いた料理をロボットから取り出している。


 ほうれん草のソテーやフライドポテト、サラダなどをテーブルに並べる。


「ねえ、取ったらどうすればいいの」

「こうします」


 涼音が配膳ロボットの上部にあるタッチパネルの『受け取り完了』の文字をタップする。するとロボットは離れていく。


「慣れているわね」


 涼香が感心した風に言う。


「慣れてますから」


 それに誇らしげに返すと、頬が緩めた涼香と目が合った。


「……なんですか」


 その表情を向けられるいわれのない涼音が眉を顰める。


「なにもないわよ。冷めないうちに食べましょう」


 こうしていつも通りの緩慢な放課後が過ぎていく。

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