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ゲームセンターにて

 ある日の放課後。


「先輩来ましたね! ゲームセンター!」


 舞い上がっている涼音すずねとは裏腹に、涼香りょうかは落ち着いていた。


「落ち着きなさい涼音すずね、私がゲームセンターでの上手な遊び方を教えてあげるわ」


 上手な遊び方とは? と首を傾げる涼音に、涼香は得意げに胸を張る。


「私達高校生は基本お金が無いわ。だから遊ぶのは百円で一プレイのゲームではなくて、百円で最大十二回は遊べるメダルゲームで遊ぶのよ」

「おお! さすが先輩!」

「さっそく行くわよ」


 さっそくメダル両替機の前にやってきた二人、まず涼香が受取口にカップを置いて百円玉をメダルに替える。カップの中にメダルが十二枚入ったのを確認すると、カップを取り出そうとして、受取口に引っ掛け、カップごと落としてしまった。


「ありゃ」


 涼香は散乱したメダルを素知らぬ顔で拾い集めるが、両替機の下に入ってしまったのだろうか、拾ったメダルの数は十枚だけだった。


 しかしこの程度で動じる涼香ではない。続いてメダルを両替しようとしている涼音を手で止める。


「私がこのメダルで涼音の分を稼いでみせるわ」

「えー、別にいらないですよ。自分で稼げますし」

「先輩の厚意は有り難く受け取るものよ」


 得意げに微笑む涼香に、涼音は仕方なく頷くことにした。

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