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At the end of the story



 冬の合間の晴天だった。

 出勤途中の松本はうっすらと明るくなり始める東の空を見て目を細めた。朝焼けが橙色に雲を照らしていた。徐々に黄金色に変わる光がきらきらと美しく輝くので、松本は思わず足を止めた。

「――夜明けか」

 馴染んだ黄色の腕章が今日から赤色に変わる。吐き出した息が白から無色に変わる。すべてが変わりゆく世の中で、日が昇り沈む方向だけは変わらない。

 松本はしばらく昇りゆく太陽を見つめていたが、また歩き出した。

 太陽はそんな彼の横顔をじっと照らしていた。





【ピュア・ペネトレイション END】


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