病院を彷彿とさせる特徴はあるが、病院ではないということしか判らない謎の部屋。そこには「僕」と「君」だけがいて・・・・・・。
いわゆるセーブ&ロードを繰り返すループ物のノベルゲーム。主人公がヒロインを救うため、何度も何度も挫折を繰り返してはまた同じシーンを繰り返しているような。初見としてはそんな情景が連想されました。
ただそれらと決定的に違うのは、二人のいる世界は結局何なのか、どうして「君」は思い出を失ってしまったのか、そしてなぜ「僕」は何度も同じシーンを繰り返すことができるのか等々。いわゆる「世界の秘密」的なものには一切触れられていない点。
まるでそんなことは「僕」にとってはどうでもいいと言っているみたいなまでの情報の遮断。なんなら「僕」がうまくいった暁にはこの世界はどうなるのかすら判らないのですが、「君」さえいればそれでいいのでしょう。
対して「君」の姿やその一挙手一等足などへの描写は徹底的なまでに描かれていて、このあたりの情報のオンオフに「僕」の狂気的なまでの愛情を感じました。
総じて5ページという短い作品でありながら、短いからこそ筆者の細部へのこだわりがすごく感じられて、とても濃密な読了感でありました。
最後になりますが、私の好きなシーンは最後から二行目「君には・・・・・・」が「僕には・・・・・・」よりも先に来ている部分です。「僕」のエゴが漏れてていいですよね。