目次
ブックマーク
応援する
4
コメント
シェア
通報

第19話 脱出出来ない

そう簡単に将太君のスランプは脱出できなかった。

そうだよね。そう簡単にスランプ脱出は出来ないよね。何かあるのかな?でも柔道の事は分からないしね‥‥‥。何の役にも立てない。

幸い試合まで時間があること。でも、日本代表合宿がうちの大学で近々ある。代表合宿までには脱出できたら良いな。

部員は将太君だけじゃないので‥‥‥。他にもいっぱい気になるコがいる。

今日は、ケンシロウ君に声をかけよう。坂本ケンシロウ君。1回生。66キロ級の日本代表。

ケンシロウ君はスランプじゃないけど〜真面目すぎて‥‥‥食事制限が厳しくしすぎているカンジがある。試合までは後‥‥5ヶ月あるから、ちょっと絞りすぎるカンジがあるんだよね。代表合宿に標準をあわせて絞りたいんかな??代表合宿に高校生の新星がいるらしくて焦っているんじゃないかと才木監督は言ってた。

今日は‥‥坂本くんを誘ってカフェラテ飲みに行こう!!

坂本くんをカフェに誘う時に近くにいた将太君に睨まれたよ!!将太君も行きたかったんかな??

美味しいもんね。

話を聞くとやっぱり坂本くんは焦っていた。ダラダラ減量をするんじゃなくて短期間に絞る方が効果的だと言う事を本で得た知識で話す。合宿では逆に体重があったほうが体力があって‥‥いいよ!動きすぎて体重は減るから!大丈夫!!増えすぎないように計算したメニューにするから!っと力説したらそうですね。ってあま〜いキャラメルラテを注文してた。素直過ぎてかわいい。キャラメルラテを飲んで‥‥‥

「身体が喜んでる気がする。」って言うから!

ふっ!ハハハハハハ。吹き出して笑った。

「そうよ。適度な糖分も必要なんよ。」

「はい。ありがとうございました。」

「うん。ケンシロウ君は、真面目で素直だからきっと良い結果がでるよ。」

「そうだといいな。」

「あれ?弱気なケンシロウ君はじめてだよ。気持ちで負けない事もケンシロウ君の良い所よ。忘れないで。」

「フフフ。ありがとうございます。リサさんとはなすと勇気がわいてきます。」

「良かった。」

「ツリー見に行く?」

「将太先輩に怒られそうやからやめときます。」

「そう?将太君怒らないと思うけどな‥‥‥。」

道場に帰ると‥‥まだ練習は終わってなかったが‥‥‥愛梨奈が将太君の腕を持ってつかまり立ちをしていた。ビックリして近寄る。

「えっ。えっ!すごい!!1人でたったの?」

「うん。畳でハイハイしてて休憩しようって俺とゴロゴロしてたら急に俺につかまって立ちだした。何回もゴロンとして失敗したけど何回もチャレンジしてた。すげぇなー。って思った。」

「そうなの?頑張ったんやね?かしこいね愛梨奈〜。」って愛梨奈を抱きしめた。

「まだ、練習終わってないんっすね?」ケンシロウ君が聞く。

「転んでも転んでもチャレンジする愛梨奈にみんな感化されてやる気が燃えてる。」

「そうなんですか??俺も見たかったなー。」

「私も見たかった。残念。」

「見る?」

「えっ!!見れるの?」

「見たいだろうと1回目転んだ後からビデオをとってる。」

「早く言ってよ。見よう。」

「監督が今、理事長を呼びに行ってる。「ビッグニュース」って言ってすごい勢いで呼びに行った。」

「そうなんだ。あっ!だからスクリーンとプロジェクターだしてたんか〜。」

「えーりーなー」バタバタと真央さんが走ってきた。すぐに愛梨奈を抱っこする。ほっぺ同士をあわせて「えらいね〜。」って何度も褒めてた。

「うつします。」っという将太君の声でスクリーンにみんなが注目した。

想像以上に何度も何度も転んでた。ゴロンって転んでも泣かずにハイハイで将太君の近くまで来て、また立とうとして転ぶことを繰り返す。立てた時のドヤ顔がかわいすぎた。小さいのに頑張る姿にちょっと泣いてしまった。

このデータをほしい。

「このデータほしい。」

「はい。あげますってUSB」

「ありがとう。本当にありがとう。」

「でも、コピーしたら返して。自信がなくなったり練習が嫌になったら見るから!」

「わ‥‥た‥‥しも‥‥ほしい。」真央が泣きながら言う。「俺も」「俺も」ってみんなが言うから

20個ぐらいコピーした。

コピーしてる時に今日の乱取りしている将太君も、うつってた。

あっ。乱取りの映像を見比べると何かわかるかも。難しいと思うけど、やってみよう。

将太君の乱取りの映像を何日もかけて何本もみた。

ある事に気づいたかもしれない。

まず、監督に見てもらおー。

「才木監督!」

「どうした?」

「ちょっと見てほしいものがあります。でも!!はじめに言っておきます。柔道がわからないから検討違いの可能性が高いですけど、見てください。」

「なんだ?」

「コレは絶好調の時の将太君です。コレもコレもです。足が出てかける場所を見てください。もう1回流します。」

「うん。」

「次がスランプ中の将太君。さっきと一緒で足見て下さい。」

「どうですか?浅くないですか?」

「浅い。」

「ほんの数センチやけど。」

「うん。」 

「あと‥‥‥この技は掴む手が数センチ上なんです。」

「あぁー。」

「敢えてしてるかもしれないんですけど‥‥‥。」

「どうだろう?意識してるわけじゃないと思う。焦って浅い。力が入りすぎて奥をつかみすぎる。」

「私にはわかりません。でも、将太君に伝えてください。」

「もちろん。ありがとう。よく気付いたな。」

「めっちゃビデオみました。寝不足です。」

「すまん。愛梨奈預かるから寝て来る?」

「大丈夫ですよ。」


愛梨奈と道場の倉庫にテーピングを取りに行くと‥‥‥。バン!!って戸を閉められた。カギをかけられた?カギというか何かつっかえ棒をしてる。

多分‥‥‥女子。誰かのファンかな?将太君か?ケンシロウ君か?

倉庫は寒い。愛梨奈もいるのに‥‥‥。するなら私1人の時にしてお願いよ〜。

脱出でき‥‥‥‥‥。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?