「出ます。繋いで。」
「はい。有川コーポレーション森下です。」
「佐藤建設の営業部岡田と申します。」
「失礼ですがお会いしたこともお話したこともないですよね?」
「はい。失礼を承知でアポなしでお電話させて頂きました。申しわけありません。ですが、出て頂けるとは思いませんでした。何か思いあたる節でもおありでしょうか??」
「そうですね。ないような‥‥あるような‥‥‥。」
「電話では申しあげにくいので今夜、お時間いたたけないでしょうか??」
「わかりました。こちらの指定した場所でよければ‥‥。」
「どちらでも結構です。」
「承知しました。後ほど時間と場所を連絡します。」
「お待ちしております。失礼します。」
なんだ?何をたくらんでいる?わからない。ヴ〜〜。額に右手をあてて唸っているとドアが開く。
「どうした?唸ってたけど?」
「あ゙〜。何も仕掛けてないのに仕掛けてきた。」
「はぁ?」
「佐藤建設の岡田さちから会社に電話があって今夜、会う。」
「えっ!面識あったのか?」
「いや〜。ない。突撃電話。電話では言えないから会いたいだって!」
「企みは?」
「わからん。」
「場所はこっちが指定する事にしてるから、いつもの料亭つかう。」
「あ〜。わかった。」
「みすずの送り頼む。」
「ふんっ。俺の姉だから頼まれなくてもする。」
「ふんっ。」
料亭の名前と場所と時間を岡田さちにメッセージに送る。
調査会社から報告があがる。
岡田さちは広島出身で堀田直哉の元婚約者。
元か‥‥‥‥。婚約解消の時期が堀田の親の会社の倒産の時期と一致している。
わからん。会社への逆恨みなら社長か大和を狙らえばいい。大和なんか簡単に騙せそうなのに‥‥。
しかも、俺に電話してくるあたり、狙いはみすずなのか?
俺を酔わして、ベッドインの写真をみすずに送るとか?
念の為、俺の飲みものは相手にわからないようにノンアルコールにしてもらえるように料亭の女将に頼んでおこう‥‥‥。