一学期の中間テストが終わったあとの教室は、独特の雰囲気に包まれていた。
「あぁ〜、やっと終わった〜! このあと、ワクドに行っとく?」
「ねぇねぇ、さっきの数学のテストやばくなかった?」
などなど……教室内の生徒たちは、それぞれに開放感にひたりながらも、終わったばかりのテストのことが頭から離れないようだ。
そんななか、オレは、テスト前の放課後に会話を交わしたクラスメートたちに協力を得て、上坂部葉月の幼なじみ奪還(?)計画を進めようと考えていた。
テストが始まる前の週末ワカ
やはり、自分の中では、上坂部の想いを放っておくことはできない、という結論に達した。
もっとも、そこには、
「
という言葉を吐いた転校生への反発心が含まれていないというと、嘘になるのだが……。
週末から昨日までの間、テスト勉強そっちのけ……いや、勉強の合間の時間をとって、オレなりに「彼女がいる男性が本命にしたい女性の特長」というものを調べてみた。
インターネットという情報収集に最適なツールを駆使し、さまざまなサイトを比較、検証したところ、次のような結論に達した。
◯彼女がいる男性が本命にしたい女性の特長三選
・聞き上手で癒し系
「聞き上手で癒し系の女性は、男性にとって居心地が良く、本命にしたいと思わせる可能性がある。男性は、自分の話を聞いてくれて、心を癒してくれる女性に魅力を感じる。特に、仕事で疲れている時や、悩みを抱えている時には、癒し系の女性の存在は非常に大きく感じられる。例えば、男性が仕事で失敗して落ち込んでいる時に、優しく話を聞いて励ましてくれる女性は、彼にとって心の支えとなり、特別な存在になる可能性がある。男性にとって、そうした相手は、癒しを与えてくれる存在になる」
・自立していて魅力的
「自立していて魅力的な女性は、男性にとって尊敬できる存在であり、本命にしたいと思わせる可能性がある。男性は、自分の力でしっかりと生きている女性に魅力を感じる。依存的な女性よりも、自立した女性の方が、一緒にいて刺激的で、成長できると思わせるから。例えば、仕事で成功していたり、趣味に打ち込んでいたりする女性は、男性にとって輝いて見え、惹かれる。男性にとって、そうした相手は、尊敬できる存在になる」
・家庭的な一面がある
「家庭的な一面を持つ女性は、男性にとって安心感を与え、本命にしたいと思わせる可能性がある。男性は、結婚を意識した時、家庭的な女性を本命にしたいと考える。料理上手であったり、家事が得意であったりする女性は、将来を共にしたいと思わせる安心感がある。例えば、手料理を振る舞ったり、彼の部屋を綺麗に掃除したりすることで、家庭的な一面をアピールすることができる。男性にとって、そうした相手は、将来を共にしたいと思わせる存在になるかもしれない」
自分なりの見解だけでなく、念のために、スマホで利用できる人工知能・Googleジェミニを相手に、
「彼女がいる男性が本命にしたい女性の特長を3つ教えて」
という質問を投げかけたところ、おおよそ、同じような答えが返ってきたので、少なくともインターネット上の情報に信頼をおくかぎり、オレの見解は、大きく間違ってはいないはずだ。
ただ、こんな風に情報を精査していて感じることがいくつかあった。
三つの特長のうち、「聞き上手で癒し系」と「家庭的な一面がある」という二点については、上坂部葉月の性格に十分、あてはまっているように思う。その一方で、「自立していて魅力的」という特長については、客観的に見ると、残念ながら名和リッカに軍配が上がるだろう。
こうしたことを踏まえつつ、上坂部には、アプローチ方法を考えてもらわないといけない。
そして、クラス委員の
ここで掲げた三つの特長は、テスト前に名和リッカが、言及していた恋愛シュミレーションゲーム『ナマガミ』の幼なじみキャラクターである
主人公の幼なじみである志穂子は、「聞き上手で癒し系」かつ、お菓子作りが得意という「家庭的な一面がある」一方で、一見、ヘッポコで食いしん坊なドジッ娘のように見えて、主人公との恋が実らない場合は、アイドル歌手やパティシエとして成功するというシナリオが展開される「自立していて魅力的」な一面も持っているのだ。
自分の周りの
さすがは、「男子が求める『いつかはあらわれる理想のお姫様』像」として、特集されただけはある。
そんな、完全無欠な二次元のキャラクターに比べれば、相手が現実の女子ならば、まだ攻略の糸口があるのではないか――――――。
オレは、そんな風に考えていた。