白いケモノが悲しみに暮れていた頃、一人のお客がやってきました。
お客と言っても、人間ではありません。
白いケモノの友だちの黒くて毛むくじゃらのケモノでした。
「どうしたの? ずい分と暴れまわったようだけど……シロ君らしくないじゃないか?」
白いケモノは、荒れ放題の自分の庭を恥ずかしく思ったものの、どうして、自分が腹を立てたのかを黒いケモノに話しました。
「なんだ、それなら、僕にいい考えがあるぞ」
「いい考えって、なんだいクロ君」
白いケモノがたずねると、黒いケモノはこう答えました。
「僕が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ君が出てきて、僕をこらしめる。そうすれば人間たちにも君が優しいケモノだということがわかるだろう」
白いケモノは、これでは友だちに申し訳ない、と白いケモノは思いましたが、黒いケモノは白いケモノの手を引っ張って、人間達が住む村へと向かいました。
「グオ〜! ガオ〜!」
黒いケモノは、雄叫びをあげ、村の人々や家を襲います。
猟師たちも鉄砲を抱えて、黒いケモノに対抗しますが、黒くてじょうぶで固い毛に覆われたケモノには、傷のひとつもつけることが出来ません。
そこへ、息を切らしながら、白いケモノがやってきました。
「なにをしている! この乱暴者め!」
白いケモノが、黒いケモノにのしかかると、黒いケモノは小さな声でこう言います。
「さあ、シロ君、しっかり、僕を殴るんだ」
どうなることかと、ケモノたちの様子を見ていた村人や狩人には、白いケモノが力強く黒いケモノを叩いているように見えました。
「クロ君、もう十分だ。はやく、ここから逃げるんだ」
「そうだね、シロ君。そうしよう」
こうして、作戦は成功し、おかげで白いケモノは人間と仲良くなることができました。