夕方の6時がすぎた。ねむった類をみながら花音が1人ごちる。
光希遅いな‥‥‥‥‥。朝が早かったからもう帰ってきても良いよね‥‥‥。何にもないよね。あるわけない。っと自分に言い聞かせて落ち着かせる。
「ただいま!!」
帰ってきたー。「おかえり!お疲れ様。」
「ただいま。類は??」
「寝てる。今日は公園に行ったからぐっすり‥‥‥‥。7時になったら起こしてご飯をたべさせようかな〜。光希は先にたべる?」
「いっしょが良い。」
「わかった。‥‥‥‥‥‥‥。今日は初めてのクライアントのCMだったんでしょ?どうだった?」何もない。何もない。心の中で何度も呟く。
「なんか‥‥‥‥。副社長が俺を指名してくれたみたいで‥‥‥‥‥。現場にも来てた。」
「えっ!えっ!副社長って??会ったの??」花音は光希と新が会ってしまった衝撃に慌ててしまう。
「花音?大丈夫? ‥‥‥‥うん。会ったよ。ちゃんと挨拶したよ。」光希は笑う。
「あ、あ、あ、挨拶だけ??他に話した?」
「うん。話したよ。何?花音も九重副社長のファン?イケメンで御曹司だからファンがいっぱいいるって磯部さんが言ってたー。」
「ファンじゃないけど‥‥‥‥。」
「そう??身辺調査かな‥‥‥‥家族の話を聞かれた。」
えっ!!!家族って!心臓が止まりそうなぐらいドキドキする。
「えっ。待って!!!類の話はしてないよね?」
大きな声で言ってしまい‥‥‥光希が両耳を両手で塞ぎながら言う。
「興奮しすぎ!!!!!言ったよ。写真も見せた。」
「えっ。えぇーえぇぇぇぇ!写真??えぇぇぇぇぇぇ!どうしよう。どうしよう。」花音がうろたえる。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。ごめん。ダメだった?九重副社長はかわいいって言ってたよ。」っと言う。
「そうー。そっかー。かわいいだけ?」
「うん。かわいいだけで充分じゃん。」
「うん。そうだね。充分!!」ハァー。もしかして気づいてない??良かったー。光希も思い出してない!!良かったー。
「でも、もう‥‥‥‥個人情報だから話したらダメよ。」
「えー!」
「ダメ!わかった?」
「わかった。九重副社長って誰かに似てない?」
「えっ!」
「誰かに似てるって思ったんだけど‥‥‥‥誰かわからない!」
「えっ。イケメンなら、芸能人じゃない?」
「そうだね。何か思い出しそうでわからなくてモヤモヤする!!」
「モヤモヤ?忘れよう。とりあえず忘れて。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。もう‥‥‥‥‥何一つも忘れたくない。」
「‥‥‥‥。光希‥‥‥ごめん。」
「はぁー!何が??冗談!!コッチこそごめん。」
「‥‥‥。うん。」
「よし!類を起こそうっと」光希はワザと明るく言う。