目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第2話 母と商売

さて、母に関するエッセイの二話目になります。

今回は、母と商売についてです。


母の実家は米屋をしていましたが、

母が幼い頃には傾きかけていて、

かなりの貧乏暮らしをしたと聞きました。

母の父には商才がなく、

母の母がリアカーを引いて行商に出て食い扶持を稼ぐほどであったと聞きました。

このあたりは前回書きましたね。

母の父には商才はありませんでしたが、

母曰く、学者やお役所仕事についていたとしたら、

よき上司になれていただろうとのことでした。

商売よりも、そっちの方が向いている母の父であったらしいのです。

母の父に関しましては、

エッセイが続いていくときに書くこともあるかもしれませんが、

商才はありませんでしたが、

頭のいい、善人であったと聞いています。


母は、幼い頃から、

私だったらこう商売するということを、

考えていたと聞きました。

母には姉がいて、弟が二人いて、

弟のうちの上の方が長男ですので、

長男が家を継ぐことが当然のようでありました。

戦後間もない昭和の時代です。当たり前だったのでしょう。

母も無理やり継ぎたいということは言わなかったようですが、

幼いなりにこの家を何とかしたいとは思っていたらしいです。

その思いが、成長していくに従い、

結婚するならば商売をやっている人がいいという価値観になっていったようでした。

昭和初期の女性ということもあり、

起業という頭はなかったものかもしれません。

結婚するならばという考えを持つあたり、

その時代を生きた女性だなと私は思います。

今の価値観で判断するのはおかしいとは思いますが、

母の時代らしいなと思います。


さて、母は、一度目の結婚をします。

自動車修理の会社の二代目です。

一度目の夫は、職人肌の方であったと聞きます。

母曰く、べらべらしゃべる職人は信用できない、らしいです。

口数は少ない方で、仕事が確かであったようでした。

自動車を修理したり、

車検に持って行ったりするお仕事をしている会社でしたので、

車検場に車を持って行きますと、

車検の手続きを待っている間、

同業者の方々から、これはどう修理したらいいのかと、

一度目の夫に質問しにやってくるようでした。

その質問に丁寧に答える方であったと聞きました。

職人気質の一度目の夫でしたので、

母は、その夫を支えるように商売をしようと思ったらしかったです。

修理や整備に集中をさせて、

それ以外のところで商売がちゃんと成り立つように、

母は精一杯頑張ったようでした。

車検を終えた車をお客様に納車する前に洗車していた時、

ああ、これが幸せだと思ったと聞きました。


一度目の夫は、若くして胃がんで亡くなりました。

とても進行が早かったと聞きました。

当時は会社で二人の従業員を雇っていましたので、

一度目の夫が亡くなった後も、

会社を続けていかないと、

従業員へのお給料が払えなくなってしまいます。

一度目の夫の父である先代の社長と、その妻も、

懸命に会社を守っていきました。

母は、その当時、私がこの会社を守らなければならないと、

あっちこっちに頭を下げて菓子折りを持って行って、

車検の仕事をください、

修理や整備の仕事をくださいと頼み込んだらしかったです。

また、自動車の修理や整備の会社には、

何級かの整備士がいないといけないというのがあるとか、そんなことを聞きました。

当時の母はそれならば私が取ると一念発起して、

夜遅くまで勉強をして、二級整備士の資格を取りました。

母が勉強をしていた頃、

私と妹は幼かったのですが、

こんなに起きていたらお母さんが壊れちゃうと思いました。

それほど、会社を守るのにがんばっていました。


母は、商売を任されたとしたら、

その商売に責任を持つポリシーがあったものだと思います。

実家の米屋は母が幼い時に結局たたまれてしまったらしいのですが、

母の中で何とかしたかったというのが、

ずっと続いていたのかもしれません。

母の父は、女にしておくのはもったいないと言っていたようですし、

一度目の夫の父である、先代の社長も、

女にしておくのはもったいないと言っていたようでした。

女にしておくのはもったいない強い女。

周りからの評価はそうだったかもしれません。

娘の私から見ていますと、

強いというより、守りたいゆえに強くなったという、

そんな母に見えてきます。

母は、商売を軌道に乗せて、

暮らしを守りたかったし、家族を守りたかったし、

顧客からの信頼も守りたかったし、

社員がいればその家庭も守りたかったのだと思います。

全部守りたいゆえに、商売を何とかしようと思った。

そんな風に見えてきます。


母は商売をやっている人と結婚したいと思っていた。

それは、実家が商売をたたんだ時に何もできなかったことと、

今度は全部守るのだと思ったことに起因するような気がしています。

それは強さかもしれませんが、

失うことの怖さでもあったのかもしれないと思います。


母は一度目の夫と死別した後、

しばらくしてから、会社を先代社長の娘さんとその夫に引き継いで、

母自身は私たちを連れて再婚します。

このあたりのことも、エッセイを続けていったら母の語ったことも書けるかもしれません。


これからものんびり母の語ったことをエッセイとして書いていきます。

私の主観がかなり入りますが、

まぁ、娘の書くこととして呆れながら読んでいってください。

書きたいことはまだありますので、

これからもよろしくお願いいたします。


ではまた。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?