この学園には、過去に何人も"逃げようとした"生徒がいた。
だが、そのうちの 誰一人として、成功した者はいない。
かつて、「藤堂直哉」という男子生徒がいた。
彼は真面目で、堕落なんて絶対にしないと誓い、あらゆる手を尽くして学園からの脱出を試みた。
1度目の脱走 - 正門突破
入学して1週間後、藤堂は 正門からの脱走 を試みた。
しかし――
「ここは、学園内の生徒が 外へ出ることは許されていません」
黒服の教師たちに囲まれ、あっという間に取り押さえられた。
彼は抵抗しようとしたが、不思議な力で体が動かなくなった。
その後、丸一日監禁 された。
翌日、彼は青ざめた顔で登校した。
何をされたのかは決して語らなかったが、瞳の奥に恐怖を宿していた。
2度目の脱走 - 非公式ルートからの逃走
それでも藤堂は諦めなかった。
ある日、彼は「学園の地下倉庫に古い排気口がある」との情報を手に入れた。
深夜、こっそりとそこから抜け出そうとしたが――
「君、本当に学園を出たいの?」
倉庫の暗闇の中、突如 松井先生 が現れた。
「せ、先生……?」
「そんなに学園から出たいなら、出してあげようか?」
松井は不気味な笑みを浮かべ、手を差し出した。
「ただし、"悪魔として" だけどね?」
その瞬間、藤堂の背筋が凍った。
次の瞬間、彼の契約していた悪魔見習いが彼を押さえつけ、"何か" を囁いた。
「ッ――!!!」
彼は激しく抵抗しようとしたが、そこからの記憶はない。
翌朝、藤堂は まったく別人のようになっていた。
目は虚ろで、何を聞いても曖昧に笑うだけ。
かつての真面目な性格は跡形もなくなり、まるで"操り人形"のようだった。
そして、その日を境に 彼は急激に堕落していった。
授業をサボり、金を浪費し、女遊びに溺れ、学園の"模範的な生徒"となっていった。
そして、彼は消えた
入学から半年後、藤堂直哉は 突然、学園から姿を消した。
教師に聞いても、誰も彼の行方を教えてくれない。
クラスメイトも、藤堂のことを話そうとしない。
ただ、一つだけ確かなことがある。
――学園の深夜、彼にそっくりな"何か" が、学園内を徘徊しているという噂がある。
青白い顔で、虚ろな瞳で、何かを探すように ずっと学園の廊下をさまよっている。
「……ここから、出して……」
そう呟く声が、夜な夜な聞こえるらしい。