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第27話 「ルシファー・ゲーム」開幕!②

俺たちは魔法陣の光に包まれ、次の瞬間、闇カジノとは全く違う場所に立っていた。


「……ここは?」


見渡すと、広大な闘技場のような場所だった。天井はなく、紫色の炎がゆらめく異空間が広がっている。観客席には得体の知れない悪魔たちがびっしりと座り、俺たちを見下ろしてニヤニヤしていた。


「……最悪な場所に飛ばされたな」


鬼塚が不機嫌そうに腕を組む。


「ここが“ルシファー・ゲーム”の舞台ってわけね……」


ヴァレリアがため息をつく。


「ええ、その通り」


ルシファーが闘技場の中央にふわりと降り立った。


「さて、ルールを説明しようか」


指を鳴らすと、上空に巨大な魔法のスクリーンが現れた。そこには「第一試練:運命のロシアンルーレット」と書かれていた。


「ロシアンルーレット……!?」


「おいおい、まさか弾が入った拳銃を回すとかじゃねぇだろうな!?」


鬼塚が眉をひそめる。


「まさか、そんな単純なものじゃないよ。これは"地獄式"ロシアンルーレットさ」


ルシファーが手を振ると、俺たちの目の前に円形のルーレット台が現れた。


その上には──6つのボタン。


「この中の一つが地獄行きのボタンだよ♡」


「は……? なんだそりゃ!」


「ルールは簡単。君たちは順番にボタンを押していく。誰かが"ハズレ"を引いたら……その人は地獄の底に落ちる」


「「「はぁぁぁぁぁぁ!?!?」」」


「ただし!」


ルシファーが人差し指を立てた。


「一度でもボタンを押せば、次の試練に進める。つまり、全員が押せば5人は助かる。ただし、誰かが押さなかった場合……その分、次に押す人のリスクが上がるよ」


「くっそ……完全な運ゲーじゃねぇか!」


鬼塚が舌打ちする。


「おいおい、悪魔のゲームに実力が通用すると思ったかい?」


ルシファーがニヤリと笑う。


「さぁ、誰から押す?」


「……」


沈黙が場を支配する。


「おら、押すだ……」


突然、飯田が一歩前に出た。


「飯田……!?」


「ここで誰も押さねぇと、後に続くやつが余計に怖くなるべ……なら、おらが行くしかねぇべ!」


「……お前……」


「さっさと終わらせっぺ!」


飯田が勢いよくボタンを押した──


──カチッ


沈黙。


何も起こらない。


「……セーフ、だべか?」


「飯田……!」


俺たちの間に安堵の空気が流れた。


「ふふ、いい度胸だね。さぁ、次は誰が行く?」


ルシファーが嬉しそうに言う。


「お、お次は我が行こう……!」


ジョンが一歩前に出た。


「おいジョン、本当に大丈夫か!?」


「フッ……この手の運試し、我は数々のソシャゲで鍛えられてきた……! 我のガチャ運を信じろ!」


「おい、それ信じていいやつか!?」


ジョンがボタンを押す。


──カチッ


「……っ!?」


「セーフ! 2連続でセーフですわ!」


セリーヌが小さく拍手する。


「おおおお! すげぇぞジョン!」


「フフ……ソシャゲの爆死を乗り越えたこの手に、不可能はないのだ……!」


「いや、そこはガチャで当てろよ!!」


「次は……あたしが行くわ!」


ヴァレリアが妖艶な笑みを浮かべながら、ボタンを押す。


──カチッ


「3連続でセーフ! これは……行けるのでは?」


「……へへっ、なんだ、簡単じゃない♡」


「調子に乗るなよ……次は俺が行く」


鬼塚が無言でボタンを押す。


──カチッ


「……っ!」


「セーフ!!!」


「鬼ちゃんかっこいいわぁ♡」


「お前はどんな状況でもブレねぇな……」


そして、残ったのは俺とセリーヌ。


「……」


「桜木さん……私が先に押しますわ!」


「セリーヌ……!」


セリーヌが震えながらボタンに手を伸ばす。


「いきますわ……っ!」


──カチッ


「……」


何も起こらない。


「セーフ……! やりましたわ!」


「あとは……俺だけか」


ルシファーがニヤリと笑う。


「さぁ、ラスト一人……君が押せば、全員クリアだよ?」


「……くそ、やるしかねぇ!」


俺は渾身の力でボタンを押した。


──カチッ


「……」


静寂。


「……セーフ?」


「おめでとう、全員クリアだよ♡」


「「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」」


俺たちは全員でガッツポーズをした。


「ふふ……面白いね。全員が生き残るとは思わなかったよ」


「おらたち、やっただな!」


飯田が涙目で拳を握る。


「へへっ、ま、当然だな!」


鬼塚が笑う。


「……だが、まだ一つ目の試練が終わっただけだ」


ジョンが静かに言った。


「そう、その通り!」


ルシファーが指を鳴らすと、魔法のスクリーンに新しい文字が浮かび上がった。


──「第二試練:悪魔の賭け」


「さて、次はどんな地獄を見せてくれるかな?」


堕落するまであと91ポイント。

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