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第26話 「ルシファー・ゲーム」開幕!

「……おい、マジかよ」


俺、桜木翔太は今、人生最大のピンチに立たされている。


目の前には、悪魔ベルゼブブが仕切る闇カジノのVIPルーム。

俺たちの目の前に広がるのは、豪華すぎるブラックジャックのテーブル。


そして――


「おやおや、これは面白いことになったね?」


ディーラー席には、ラミアという名の悪魔が座っていた。

透き通るような肌、妖艶な笑み、そして手元で滑らかに動くトランプ……。


「ルールは簡単。二回勝てばクリア。二回負ければ君の魂を頂く」


「は!? 魂!? ふざけんな!!」


俺が叫ぶと、隣で飯田がバンッとテーブルを叩いた。


「おいおい、こんな賭け聞いてねぇぞ!」


「俺たちは普通にポーカーやってただけだろ!」


ジョンも呆れたようにサングラスを外す。


そう、もともと俺たちはルシファーに会いに来たんだ。


まさか本物の悪魔の経営するカジノとは思わなかった……。


「おい翔太、どうすんだよ?」


「……やるしかねぇ」


「マジかよ!? ここで!? お前ギャンブル弱えだろ!!」


「うるせぇ! 言うな!!」


「ふふっ、面白いねぇ。では、ゲームスタートだ」


ベルゼブブが指を鳴らすと、ラミアがカードを配り始めた――。


俺の運命を賭けた「ルシファー・ゲーム」が、今、幕を開ける――!!


「さて、ゲームを始めようか」


妖艶な悪魔ディーラー、ラミアが微笑むと、ブラックジャックのカードが静かに配られた。


「さぁ、プレイヤーは賭け金を置いてくれ」


「……賭け金って、何?」


俺がビクビクしながら尋ねると、ラミアはくすくす笑いながら答えた。


「もちろん、魂だよ?」


「やっぱりそうか!!」


「おい翔太、マジでやるのか?」

飯田が真っ青になって俺の腕を引っ張る。


「いや、やらないって選択肢はねぇだろ!? 逃げたら魂を“即回収”って言われたし!」


「……クソッ、こんなことなら、せめて運ゲーじゃなくて実力勝負のゲームにしとくのだった」

ジョンがため息をつきながら言う。


「さぁ、ベットするか降りるか、決める時間だよ?」


「……やるしかねぇ」


俺は意を決して、魂の欠片をチップ代わりにテーブルへ置いた。


「ほう、おもしろい」


突然、背後から重厚な声が響いた。


「……ん?」


俺たちが振り向くと、そこには――


漆黒のスーツに身を包み、整った顔立ちに紅い瞳を持つ、圧倒的なカリスマを放つ男が立っていた。


「お、お前は……!!」

ラミアが珍しく動揺した様子で口を開く。


「ご無沙汰しているね、ラミア。君の小細工には興味がないが……人間を相手に魂を賭けさせるとは面白いことをする」


「ル、ルシファー様……!!」


「えっ、ルシファー!? あの堕天使のルシファー!?」


俺と飯田とジョンが同時に叫ぶ。


「フフッ、そう呼ばれることもあるね」


目の前にいるのは、悪魔界の頂点に君臨する王――ルシファー。


「ルシファー様、これはただの遊びで……」


「いやいや、構わないよ。むしろ、この人間がどこまでやれるのか見届けたい」


ルシファーは俺の方を向くと、ニヤリと笑った。


「桜木翔太。君はこの勝負に、どんな奇跡を見せてくれるのかね?」


「……奇跡って、俺、ギャンブル弱いんだけど……」


「ハハハ、それはいいハンデだ」


「ハンデ!? これハンデ戦だったのかよ!?」


「フフ、面白い……では、ゲーム続行だ」


ルシファーが指を鳴らすと、ラミアがカードを配り始めた。


魂を賭けた、絶対に負けられない「ルシファー・ゲーム」。

悪魔王が見守る中、俺の人生最大の勝負が今、始まる――!!


「それでは、ディーラーの私も勝負させてもらうわね?」


ラミアが妖艶に微笑みながらカードを配る。


俺の手札:8と3(合計11)

ラミアの見えているカード:7


「おおっ! これはダブルダウンのチャンスじゃないか!」


ジョンが目を輝かせて言った。


「ダブルダウン……?」


「掛け金を倍にして、もう一枚だけカードを引くんだ。11なら次に10を引けばブラックジャックでほぼ勝ち確だぞ!」


「そ、そうか! じゃあダブルダウンする!」


俺は魂の欠片をさらに追加し、緊張しながらカードを引く。


「では、追加のカードよ♪」


ラミアが微笑みながらカードを裏向きで置く。


「さあ、開けてごらんなさい?」


俺はごくりと唾を飲み込み、カードをめくった。


5


「16……微妙ッ!!」


「おい翔太、そりゃまずいぞ……!」


飯田が絶望的な顔をする。


「う、嘘だろ!? 10じゃないのかよ!」


「フフッ、運も実力のうちよ?」


ラミアが余裕の笑みを浮かべながら、ディーラーの2枚目のカードをめくる。


ラミアの手札:7と4(合計11)


「えっ……ヤバくね?」


「……フフッ、それでは、もう一枚引かせてもらうわね?」


ラミアは妖しく指を鳴らし、ゆっくりとカードを引いた。


10


「21。私の勝ちね♡」


「終わったあああああああ!!!」


俺は崩れ落ちる。


「はぁ……これで翔太の魂はラミアのものか……」


ジョンが肩を落とす。


「いや、まだ終わっていないよ」


ルシファーが余裕の笑みを浮かべながら言った。


「おや? ルシファー様、何か?」


「うん、ちょっとつまらないなと思ってね。だから、少し遊びを加えよう」


ルシファーが指を鳴らすと、俺の前にもう一枚カードが出現した。


「えっ!? これ、俺の追加カード!?」


「いや、これは俺からのサービスさ。受け取るかい?」


「ど、どういうこと?」


「このカードは、君の運命を変える可能性がある。しかし、開けるまで何が出るかわからない」


「……怪しすぎる!!」


「フフッ、選択は自由だよ?」


俺はカードを見つめる。


ここでルシファーのカードを受け取るのは正直怖い。

でも、このままだと俺の魂はラミアのものになってしまう……!!


「……わかった。受け取る!」


俺が意を決すると、ルシファーは満足げに笑った。


「良い決断だ」


俺は覚悟を決めてカードをめくる。


「???」


「えっ、何これ!? 文字が書いてないぞ!?」


「フフ……そのカードは、君が望む数字になるカードさ」


「……は?」


「つまり、君が『21』になりたいと思えば、それは10になり、負けたくないと思えば、相手の数字より1多くなる……そういう代物さ」


「そんな都合のいいカードあるかぁぁぁ!?」


「あるんだよ、ここは悪魔のカジノだからね」


ラミアが呆れたようにため息をつく。


「ま、まじか……!? ってことは、これを10にすれば……俺の勝ち!?」


「そういうことさ。さあ、どうする?」


ルシファーが微笑む。


「そりゃ決まってる! このカードを10にして、21にする!」


俺が叫ぶと、カードが眩しく輝き、文字が浮かび上がった。


「いけ〜〜〜!!!桜木〜!!!」


鬼塚が叫ぶ。


「10」


「は、はぁぁぁぁ!!??」


ラミアが驚愕する。


「おやおや、これは面白い」


ルシファーが楽しそうに笑う。


「ブラックジャック……桜木翔太の勝ちだ」


「や、やったあああああ!!!」


「おおっ、すげえぞ翔太!!」


飯田とジョンが歓声を上げる。

俺はほっとした。


「……クッ、仕方ないわね。今回は負けを認めるわ」


ラミアは悔しそうにしながらも、潔く手を引いた。


「さて、翔太。君はこのゲームで勝利したわけだが……」


ルシファーが俺の肩に手を置く。


「えっ?」


「当然、代償は払ってもらうよ?」


「え、ちょっ……待て待て待て! 俺、勝ったのに!?」


「フフ、悪魔のゲームに“タダ”はないのさ」


……俺、まさかとんでもない契約を結ばされたんじゃねぇか!?

やべえぞ…。


「当然、代償は払ってもらうよ?」


ルシファーがニヤリと笑うと、場の空気が一気に凍りついた。


「えっ、ちょっ……俺、勝ったんだよな!? なのになんで代償!?」


「フフ……翔太、君は確かに勝った。でも、最後に使ったカードは“俺からのサービス”だったよね?」


「……そうだけど?」


「つまり、それを使った時点で、俺と取引をしたということさ」


「そ、そんな詐欺みたいな話があるかぁぁぁ!!」


「あるんだよ、ここは悪魔のカジノだからね」


「お前もさっきそれ言ってたな!?」


「お、おいルシファー! うちの桜木を騙してんじゃねえぞ!!」


鬼塚が拳を鳴らしながら前に出る。


「翔太は勝ったんだから、それでチャラにしとけや!」


「鬼塚くん、さすがです!」


セリーヌが感動しながら拍手を送る。


「おいおい、そいつがどんな代償を払うかも聞かずに文句を言うのかい?」


ルシファーは余裕の表情で微笑んだ。


「そ、それもそうだべ……で、翔太の代償はなんだべ?」


飯田がゴクリと唾を飲み込む。


「うん、簡単な話さ」


ルシファーはゆっくりと指を鳴らした。


「俺の手伝いをしてもらうだけだよ?」


「……は?」


「手伝い、ですか?」


セリーヌが首をかしげる。


「そう。これから俺が開催する“ルシファー・ゲーム”に、君たちには参加してもらう。もちろん、途中でリタイアすることは許されないよ?」


「ルシファー・ゲーム……?」


ジョンが眼鏡をクイッと上げる。

うぜえ。


「それはまさか……古のゲーム“悪魔の三大試練”……!?」


「ジョン、なんで知ってんの!?」


「我、昔読んだ地獄のゲームマスター指南書に書いてあったのだ……!」


「そんなん読んでんじゃねぇよ!」


「くっ……どんな試練かは存じませんが、勝てば解放されるのですね!?」


セリーヌが気丈に言う。


「ええ、もちろん。ただし、負ければ……君たちは俺の忠実な部下になってもらうよ?」


「「「はぁぁぁぁぁぁ!?」」」


「部下って……まさか、悪魔になるってことか?」


鬼塚が鋭い目つきで睨む。


「そういうこと♡ どうする? 参加するかい?」


「……」


「やるしかねぇだろ!」


鬼塚が拳を握りしめる。


「ふふっ、鬼塚ったら相変わらず男らしいわねぇ♡ あたしも付き合うわ!」


ヴァレリアがウィンクしながら寄ってきた。


「おらも……桜木のダチだべ! 逃げるわけにはいかねぇべ!!」


飯田も拳を握りしめる。


「我もこの場にいるのならば、当然最後まで見届けよう」


ジョンが神妙な顔をして頷いた。


「桜木さんがいる限り、私もお供します!」


セリーヌも決意を固める。


「……みんな……」


俺は仲間たちを見渡し、深く息を吸い込んだ。


「……やってやるよ、ルシファー・ゲーム! 俺たち全員で勝って、絶対に生きて帰る!!」


「フフ……良い返事だ。それでは、ゲームの幕開けといこうか」


ルシファーが指を鳴らすと、俺たちの足元に魔法陣が現れた。


「ルシファー・ゲーム、開幕だ──!!!」


堕落するまであと91ポイント。

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