……で、結局ここはどこなんだ?」
俺たちは今、東京のど真ん中にある超高級ホテルの最上階にいた。
「ここはルシファーVIPルームよ♡」
ヴァレリアがゴージャスなソファに腰掛けながら、優雅に足を組む。
「VIPルーム……?」
「ルシファー直属の“堕落エージェント”たちが集まる特別な場所ってわけ」
「待て待て待て!! 俺たち、闇カジノから逃げてきたばっかだろ!? なんでこんなとこにいるんだよ!?」
俺が頭を抱えると、鬼塚が肩をすくめた。
「ヴァレリアがさっきのブラックカードを受付に出したら、即VIP待遇になっちまったんだよ……」
「おかしいだろ!?!?」
「ふふっ♡ せっかくのご招待なんだから、楽しみましょう?」
ヴァレリアはワイングラスを手に取り、上機嫌に微笑んでいる。
「……もう帰っていいか?」
「ダメよ♡」
「だよなー!!!」
なんでこうなるんだよ……。
悪魔たちの社交場
VIPルームの中には、怪しげな連中が集まっていた。
漆黒のスーツを着た紳士、
紫色のドレスを着た妖艶な女性、
筋肉ムキムキのゴリラみたいな男。
みんなが俺たちを品定めするような目で見ている。
「ようこそ、新入りくん」
すると、一人の男が俺の前に立った。
見た目は三十代後半くらい。黒髪をオールバックにした、渋いスーツの男。
「お前……」
「俺はベルゼブブ。このカジノのオーナーさ」
「お前がボスかよ!?」
「驚いたかい?」
「当たり前だろ!!!」
さっきまで俺を追いかけ回してたカジノの連中よりも明らかに格上の悪魔が、ニコニコしながらこっちを見ている。
「実はね、君には興味があってね……」
「俺に?」
「そう、君はカジノで異常な勝率を叩き出した。これはただの運じゃない」
ベルゼブブがニヤリと笑う。
「君、もしかして“ギャンブルの才”があるんじゃないかな?」
「は?」
「悪魔の世界では、ギャンブルの強さは“運命操作”の力に直結する。君にはその才能があるかもしれない」
「いやいや、俺は普通の人間で……」
「ふふっ♡ じゃあ、試してみる?」
ヴァレリアが妖しく微笑んだ。
「試すって……?」
「このカジノの“真のゲーム”に挑むのよ♡」
「……なんだ、それ?」
ベルゼブブは俺を見据えながら、静かに言った。
「ルシファー・ゲーム」
「ルシファー・ゲーム……?」
「そう。このカジノには、選ばれた者しか挑めない“究極のギャンブル”がある」
「究極の……ギャンブル……?」
「勝てば、莫大な富と名声が手に入る。 しかし、負ければ……」
ベルゼブブはニヤリと笑った。
「魂を奪われる。」
「いや絶対ダメなやつじゃん!!!!!」
「んふふ♡ でも、翔太なら勝てるかもよ?」
「いやいやいや!!! 俺、普通の高校生だから!!!」
「でも、君はすでにこの場にいる。逃げられると思うかい?」
「え?」
周りを見ると、いつの間にかスーツの男たちが出口を封鎖していた。
「……マジで?」
「さあ、どうする? ここで逃げるのも自由だが……」
ベルゼブブは俺の目をじっと見つめながら、低く囁いた。
「もし勝てば、君の“本当の力”が目覚めるかもしれないよ?」
「……!」
「ふふっ♡ 堕落の道へようこそ♡」
ヴァレリアが妖しく微笑んだ。
俺は、どうする――!?
堕落するまであと91ポイント。