「……ヤバい、これは来たぞ……!」
鬼塚がスロットマシンの前で興奮した声を上げた。
カラカラカラ……カチッ!
画面に「777」の文字が並ぶ。
ジャラジャラジャラジャラ!!!!
「うおおおおお!! 大当たり!!」
「お、お前マジかよ!?!?」
「へへっ、見たか桜木! これが俺の強運よ!!」
鬼塚の前に大量のコインが積まれていく。
「こいつ……まさかのギャンブル適性ありか……?」
俺が呆れていると、隣でヴァレリアもニコニコしながらカードをめくっていた。
「んふふ~♡ ブラックジャック成功よ♡ これでチップ倍増ね♡」
「いや、お前ら本当に楽しんでんじゃねーか!!!」
「怖いすぎるべ。おら、家に帰りてえよ〜。」
飯田が泣き出す。
「我が主よ、エロ本を見て元気を出すのだ。」
「今はそういう気分じゃねえべ!!!」
俺だけ完全に置いてけぼり。
くそ、何しに来たんだ俺たちは……。
「翔太もやってみたら?」
セリーヌが優しく微笑みながら、バカラのテーブルを指差す。
「……仕方ねぇな。ちょっとだけな?」
どうせ負けるだろうけど、ちょっと遊ぶくらいなら――
そう思って席についた俺だったが……
まさかの連勝劇
「また勝った……!?」
俺の前に積まれた大量のチップ。
なぜか俺の勝率が異常に高い。
「すごいわ翔太! まるで神の加護を受けているみたいね!」
「いや、天使にそれ言われると逆に不安になるんだけど!?」
俺の勝ちっぷりに周囲の客もざわつき始める。
「あの坊主、ツイてるな……」
「ディーラーがミスしたんじゃねぇのか?」
なんか視線がヤバくなってきた気がする。
「……おい翔太」
鬼塚が小声で耳打ちする。
「そろそろヤバいぞ。カジノ側が目をつけてきてる。」
「え?」
そう言われて周囲を見渡すと、明らかに柄の悪いスーツの男たちがこちらを睨んでいる。
やべぇ、これ完全に「お前勝ちすぎじゃね?」って空気じゃん……。
「お、おいヴァレリア……」
「ふふっ♡ そろそろ“お仕置き”されるかもね♡」
「笑い事じゃねぇんだよ!!!!」
俺がガタッと立ち上がった瞬間、スーツの男たちがこちらに歩いてきた。
「お客さん、ちょっとお話が……」
「翔太、逃げるわよ♡」
「え!?!?」
ヴァレリアが俺の腕を掴み、思いっきりダッシュ!!!!
「おいおいおいおい!!!?」
「待てコラァ!!!!」
スーツの男たちが怒号を上げながら追いかけてくる!!
「くそっ! だからギャンブルなんかやりたくなかったんだよ!!!」
「でも勝ちすぎて楽しかったでしょ♡?」
「余計なこと言ってねぇで走れ!!!」
俺たちはカジノの裏口に向かって全力疾走した――!!
***
「ハァ……ハァ……」
なんとか裏路地まで逃げ込んだ俺たちは、息を整えながら周囲を見渡した。
「……どうやら、まいたみたいね」
セリーヌがホッとした表情で呟く。
「お前ら、もう二度とギャンブルには手を出さねぇからな……!」
俺がそう宣言すると、ヴァレリアはニヤリと笑った。
「ふふっ♡ でも、今日の収穫は大きかったわよ?」
「収穫……?」
ヴァレリアがスッと手を差し出すと、そこには……
「L」と書かれたブラックカードが。
「……それ、まさか……」
「ええ♡ ルシファーへの招待状よ♡」
「お前、いつの間にそんなもん手に入れたんだよ!!!」
「んふふ♡ ギャンブルも堕落も、結局は繋がってるってことよ♡」
「やっぱお前が一番悪魔じゃねぇか!!!!」
こうして、俺たちはルシファーへと続く“扉”を開いてしまったのだった――。
堕落するまであと91ポイント。