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第21話 新宿

「……東京?」


俺は思わず聞き返した。


「そう、今この東京に……ルシファーはいるの」


天使は真剣な表情で頷いた。


「ちょっと待て……東京って、どこだよ」


鬼塚が混乱したように言う。


「お前、今いる場所が東京なの忘れたのか?」


「……あ、そうだった」


鬼塚は照れくさそうに頭をかいた。


「つまり、今すぐにでもルシファーと接触する可能性があるってことか?」


俺が確認すると、天使は神妙な顔で頷いた。


「……ええ。おそらく、彼はもう目を覚まし始めているわ」


「おいおい、そんなヤバい奴がすぐ近くにいるってのかよ……」


鬼塚が呆れたようにため息をつく。


「ルシファーはどこにいるんだ?」


俺が核心を突くと、天使は少し逡巡してから言った。


「……新宿よ」


「新宿……」


俺たちは顔を見合わせた。


「新宿って言ったら、東京でも特に人が多いエリアじゃねぇか」


鬼塚が難しい顔をする。


「人混みの中で、ルシファーを見つけ出せってこと?」


「いえ……おそらく、彼の方から動き出すわ」


天使の声が重くなる。


「今の彼は、完全に目覚めたわけじゃない。でも……人間たちの“欲望”や“絶望”が、彼を引き寄せるの」


「欲望と絶望……」


セリーヌが小さく呟く。


「まるで悪魔らしい話ね」


「ルシファーは元々、天使だったのよ」


天使が静かに言う。


「だからこそ、彼は……“人間の堕落”に最も敏感なの」


「……なるほどな」


俺は小さく息をついた。


「つまり、新宿のどこかで、人間の闇が渦巻いている場所を探せば……ルシファーに辿り着けるってことか?」


「ええ」


天使は力強く頷いた。


「じゃあ、決まりね♡」


ヴァレリアがニヤリと笑う。


「新宿の街を歩いて、ルシファーの気配を探すとしましょうか♡」


「……ったく、また厄介ごとに巻き込まれたな」


鬼塚が苦笑しながら肩をすくめる。


「迅、お前はどうする?」


「決まってるだろ」


俺は静かに言った。


「行くしかねぇよ」


飯田が「ジョン、エロ本持って新宿行く気か....」と呆れ、ジョンが「ルシファーも記録に!」と興奮した。


こうして俺たちは、新宿の街へと繰り出した。


“堕天の王”ルシファーを探すために――。


堕落するまであと94ポイント。

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