「……東京?」
俺は思わず聞き返した。
「そう、今この東京に……ルシファーはいるの」
天使は真剣な表情で頷いた。
「ちょっと待て……東京って、どこだよ」
鬼塚が混乱したように言う。
「お前、今いる場所が東京なの忘れたのか?」
「……あ、そうだった」
鬼塚は照れくさそうに頭をかいた。
「つまり、今すぐにでもルシファーと接触する可能性があるってことか?」
俺が確認すると、天使は神妙な顔で頷いた。
「……ええ。おそらく、彼はもう目を覚まし始めているわ」
「おいおい、そんなヤバい奴がすぐ近くにいるってのかよ……」
鬼塚が呆れたようにため息をつく。
「ルシファーはどこにいるんだ?」
俺が核心を突くと、天使は少し逡巡してから言った。
「……新宿よ」
「新宿……」
俺たちは顔を見合わせた。
「新宿って言ったら、東京でも特に人が多いエリアじゃねぇか」
鬼塚が難しい顔をする。
「人混みの中で、ルシファーを見つけ出せってこと?」
「いえ……おそらく、彼の方から動き出すわ」
天使の声が重くなる。
「今の彼は、完全に目覚めたわけじゃない。でも……人間たちの“欲望”や“絶望”が、彼を引き寄せるの」
「欲望と絶望……」
セリーヌが小さく呟く。
「まるで悪魔らしい話ね」
「ルシファーは元々、天使だったのよ」
天使が静かに言う。
「だからこそ、彼は……“人間の堕落”に最も敏感なの」
「……なるほどな」
俺は小さく息をついた。
「つまり、新宿のどこかで、人間の闇が渦巻いている場所を探せば……ルシファーに辿り着けるってことか?」
「ええ」
天使は力強く頷いた。
「じゃあ、決まりね♡」
ヴァレリアがニヤリと笑う。
「新宿の街を歩いて、ルシファーの気配を探すとしましょうか♡」
「……ったく、また厄介ごとに巻き込まれたな」
鬼塚が苦笑しながら肩をすくめる。
「迅、お前はどうする?」
「決まってるだろ」
俺は静かに言った。
「行くしかねぇよ」
飯田が「ジョン、エロ本持って新宿行く気か....」と呆れ、ジョンが「ルシファーも記録に!」と興奮した。
こうして俺たちは、新宿の街へと繰り出した。
“堕天の王”ルシファーを探すために――。
堕落するまであと94ポイント。