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第13話 最強vsオネエ

ドォンッ!!


轟音と共、漆黒の炎が俺――桜木翔太へと襲いかかる。


「っ!!」


反射的に横へ跳んだが、完全に避けきれず、腕に灼ける痛みが走る。


「くっ…マジ痛え!」


焦げた制服を見て悟る。

こいつ、殺る気満々だ。


「ほう…直撃は避けたか。人間にしては悪くない。」


ヴィゼが悠然と腕を組み、俺を見下ろす。


「だが、これは牽制だ。次は灰になるぞ?」


黒炎が再び灯り、俺が「マジやべえ」と呟く中、セリーヌが叫んだ。


「桜木さん! 逃げてください!」


「バカ言え! そんなことできるかよ!!」


俺は足を踏みしめ、ヴィゼを睨む。


「お前、セリーヌを消すって言ったよな?」


「ああ。当然だ。」


「なら、俺が阻止する!」


拳を握った瞬間、教室の壁に「堕落者抹消」と赤い文字が浮かび、床が不気味に揺れた。

ヴィゼの目が光り、地面から黒い炎の柱が噴き出す。


「うわぁっ!!」


熱気が肌を刺し、跳び退くが、「勝てる気しねぇ…」と焦る。


「私は戦うから逃げて!」セリーヌが震えながら弱い魔力を灯すが、ヴィゼが薄く笑う。


「どうした? もう終わりか?」


「くっ…!」セリーヌが顔を歪め、俺は頭を回転させた。


――俺が時間を稼げば、セリーヌが逃げられるかもしれない。


「なぁ、ヴィゼ。ひとつ聞いていいか?」


「……?」


「お前、悪魔界No.1なんだろ? 俺みたいな人間相手にするの、ダサくね?」


「ほう?我を挑発するか?」


「違うよ。お前、オネエに勝てるの?」


「…は?」


ヴィゼのこめかみがピキッと引きつる。すると――


「オーホホホ♡ ついにアタシの出番ねぇ!!」


ピンクのスーツで現れたヴァレリアが扇子を広げ、ウィンク。飯田が「また騒ぎか…ジョンがエロ本持ってくるな!」と逃げ出す中、俺は「何で出てくんだよ!」とツッコんだ。


「な、なんだ貴様は!?」とヴィゼが驚く。


「アタシを知らないなんて、ヴィゼちゃんまだまだねぇ♡」


「鬼ちゃんのピンチと聞いて飛んできたのよ♡」


『俺関係ねぇだろ!!』と鬼塚が否定するが、ヴァレリアが肩を抱く。


「鬼ちゃんのヤンキー魂…しびれちゃうわぁ♡」


「やめろォ!!」


鬼塚が暴れる中、ヴィゼの声が低くなる。


「貴様ら、何だ。」


「ふふ♡ ヴィゼちゃん、ヤキモチ? 鬼塚くんが好きなの?♡」


「断じて違う。次はお前を堕とすが、今は貴様らの騒ぎが秩序を乱れるのも同罪だ。」


ヴィゼがため息をつき、黒炎をまとって消える。俺が「え? 帰るの?」と呟くと、ヴァレリアが笑った。


「アタシの色気にビビったのね♡」


「違うだろ」と鬼塚と俺の声がハモる。


「……戦っても堕落ポイント増えねぇのか」と俺が呟き、セリーヌが「まだ43…」と青ざめた。


こうして、悪魔界最強はオネエの圧に負けて撤退した――。


堕落するまであと91ポイント。

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