放課後、教室でセリーヌと話してた時、彼女が机の上でため息をつき、指先に宿る弱々しい魔力を見つめていた。
以前より輝きが薄く、目に見えて力が衰えている。
「どうしよう…。どんどん力が弱くなってる気がする…。」
セリーヌの声に焦りがにじむ。
「ポイントがゼロになると、悪魔は存在が消えるルールなんだ…。このままじゃ、私、消滅するかもしれません…」
青ざめた顔で呟くセリーヌに、俺――桜木翔太は慌てた。
「ちょ、待て! なんでそうなるんだよ!? そんな大事なこと、早く言えよ!」
「だ、だって…!」セリーヌが眉を下げ、俯く。
「私は桜木さんを堕落させられなくて…。むしろ、あなたの言葉に影響されてる気がするんです。だから『堕落ポイント』が増えず…」
「俺のせい…なのか?」
「そう…かもしれません…」
セリーヌが弱々しく笑う。
「悪魔は人間を誘惑し、悪に引きずり込む存在なのに…。桜木さんの『平凡を守る』って言葉を聞くたび、私、変わってきてるんです。」
「いや、それならいいことなんじゃ…」
「よくありません! 悪魔としての存在が危ういんです!」
セリーヌが否定した瞬間――
バキィィンッ!!
凄まじい衝撃音と共、教室の窓が粉々に砕け、黒板に「堕落者抹消」と赤い文字が浮かんだ。
窓の外から「抹消…」と不気味な笑い声が響き、俺は腕で顔を覆う。
「なっ…!?」
「きゃあっ!」
セリーヌが俺の背後に隠れる中、足音が響く。黒いコートを翻し、鋭い瞳の男が立っていた。
「……ついに見つけたぞ、セリーヌ。」
低く響く声。それは悪魔界1位、ヴィゼだ。
「ヴィゼ…!?」セリーヌが震える。
「お前、どうしてここに…?」と俺が問うと、ヴィゼが薄く笑う。
「お前の甘さが悪魔界を腐らせる。堕落できない悪魔に価値はない。秩序を守るため、粛清しに来た。」
セリーヌの顔が青ざめる中、鬼塚が「てめぇ何だ!?」と飛び出し、飯田が「また騒ぎか…」と呻いた。
「待ってください! 私はまだ…!」とセリーヌが叫ぶと、ヴィゼの腕が動く。足元が爆発し、俺は彼女の手を引き後方へ跳んだ。
「うわっ!!」
煙の中、ヴィゼが無表情で言う。
「抵抗するか? 大人しく粛清されるか?」
黒い『魔炎』が彼の手で灯り、セリーヌが苦しそうに顔を歪める。
「逃げても無駄だ。お前に力は残ってない。」
――このままだと、セリーヌが殺される。
それだけは絶対に許さない。俺は拳を握った。
「おい、ヴィゼ…!」
「……なんだ?」
「セリーヌを狙うなら、俺が相手だ! こいつは俺の仲間だからな!」
ヴィゼが目を細め、「面白い」と呟く。次の瞬間、黒炎が俺に向かって放たれた――!!
堕落するまであと91ポイント。