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第10話 うんざりする面々

授業が終わり、俺――桜木翔太は疲れ果てて机に突っ伏していた。

セリーヌの「怠惰ポイント稼ぎ」に振り回され、心臓が持たない日々だ。


教室の静けさがしばらく続いた後、飯田がふと顔を上げ、うんざりした表情で言った。


「おい、あいつら、またやってやがったな。」


俺が「誰だよ?」と顔を上げると、飯田は教室の片隅を指した。

そこでは、ヴァレリア・アーキュリオが鬼塚に絡んでいた。

オネエ口調で学校中を圧倒する存在感だ。


「鬼塚くん、ちょっといいかしら?♡」


ヴァレリアが甘い声で近づき、しなやかな動きで鬼塚に迫る。鬼塚は不愛想に返すが、顔が赤い。


「おい、オネエ、なんだよ…。」


「フフッ♡ 相変わらずツンツンしてるわね。でも、そんなあなたが素敵よ♡」


「別にお前になんか言われたくねぇし!」


「そう言わずに…♡ 少しは私を気に入ってるんでしょう?♡」


ヴァレリアが顔を近づけると、鬼塚が後ずさる。


「お前、しつこいぞ! マジで昼飯まで奪う気か!?」


「フフ♡ だって、あなたが可愛く怒るから♡」


「お前――!!」


鬼塚の怒声が響き、俺は「憤怒1位の苦労ってこれか…」と呆れた。

その時、セリーヌが俺の耳元で囁いた。


「桜木さん、鬼塚さんの憤怒見てると怠惰ポイントの参考になりますね。

次は昼寝で稼ぎましょう!」


「待て、セリーヌ! 平凡を守るため、そんなのに乗らねえぞ!」と俺は心で抵抗し、教科書を握り潰して気合いを入れた。

だが、彼女の笑顔に負けそうだった。


飯田が苦笑いしながら言う。


「おら興味ねぇけど、あの二人が絡むと教室が騒がしくなっちまうべ。鬼塚、またヴァレリアに昼飯奪われたってさっき嘆いてたし。」


「おらも強欲1位でジョンに『超レアフィギュアを買うのだ』って言われて金ねぇべ…」と遠い目をする飯田に、ジョンが割り込む。


「フフフ…この展開は人生というドラマの美しい葛藤だ。我が主、鬼塚の憤怒は見事だな。」


「おらはドラマなんて見てる暇ねぇべ!」と飯田が呆れると、セリーヌが冷静に言う。


「ジョンさん、現実には他にも困難があることをお忘れなく。」


「その通りよ♡ 日常こそ重要だわ♡」


ヴァレリアが華やかな笑顔で乱入。

俺が「お前まで…」と呻くと、彼女はセリーヌに絡んだ。


「ふふ♡ セリーヌちゃん、そんな冷たくしないで…。私、あなたのこと知りたいのよ♡」


「え…」セリーヌが驚くと、ヴァレリアが続ける。


「だって、あなたも鬼塚くんに興味あるんでしょう?♡」


「そ、そんなことありません!」セリーヌが顔を赤くして目をそらす。

俺は「鬼塚が人気すぎる…」と呆れつつ、教室の黒板に「堕落ランキング更新中」と赤い文字が浮かんだのを見て背筋が寒くなった。

窓の外からは「更新中…」と不気味な笑い声が響き、頭がクラクラした。


飯田がしれっと言う。


「おら関わりたくねぇけど、セリーヌも頑張れよ。鬼塚の憤怒は上限で増えねぇらしいし。」


「飯田さんまで!? でも…桜木さんの43ポイントはまだ減らせますね」とセリーヌがメモに「昼寝計画」と書き込む。


「待て、セリーヌ! やめろ!」と俺が叫ぶと、ジョンがニヤニヤしながら言う。


「フフフ、我の強欲も上限だ。桜木、次の昼寝で堕ちるのを楽しみにしておるぞ。」


飯田とセリーヌが顔を見合わせて小さく笑い、ヴァレリアが「ふふ♡ 素敵な仲間ね」と絡む中、俺は「俺は堕ちねえ!」と決意したが、次のセリーヌの作戦が怖くて仕方なかった。


堕落するまであと91ポイント。

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