授業が終わり、俺――桜木翔太は疲れ果てて机に突っ伏していた。
セリーヌの「怠惰ポイント稼ぎ」に振り回され、心臓が持たない日々だ。
教室の静けさがしばらく続いた後、飯田がふと顔を上げ、うんざりした表情で言った。
「おい、あいつら、またやってやがったな。」
俺が「誰だよ?」と顔を上げると、飯田は教室の片隅を指した。
そこでは、ヴァレリア・アーキュリオが鬼塚に絡んでいた。
オネエ口調で学校中を圧倒する存在感だ。
「鬼塚くん、ちょっといいかしら?♡」
ヴァレリアが甘い声で近づき、しなやかな動きで鬼塚に迫る。鬼塚は不愛想に返すが、顔が赤い。
「おい、オネエ、なんだよ…。」
「フフッ♡ 相変わらずツンツンしてるわね。でも、そんなあなたが素敵よ♡」
「別にお前になんか言われたくねぇし!」
「そう言わずに…♡ 少しは私を気に入ってるんでしょう?♡」
ヴァレリアが顔を近づけると、鬼塚が後ずさる。
「お前、しつこいぞ! マジで昼飯まで奪う気か!?」
「フフ♡ だって、あなたが可愛く怒るから♡」
「お前――!!」
鬼塚の怒声が響き、俺は「憤怒1位の苦労ってこれか…」と呆れた。
その時、セリーヌが俺の耳元で囁いた。
「桜木さん、鬼塚さんの憤怒見てると怠惰ポイントの参考になりますね。
次は昼寝で稼ぎましょう!」
「待て、セリーヌ! 平凡を守るため、そんなのに乗らねえぞ!」と俺は心で抵抗し、教科書を握り潰して気合いを入れた。
だが、彼女の笑顔に負けそうだった。
飯田が苦笑いしながら言う。
「おら興味ねぇけど、あの二人が絡むと教室が騒がしくなっちまうべ。鬼塚、またヴァレリアに昼飯奪われたってさっき嘆いてたし。」
「おらも強欲1位でジョンに『超レアフィギュアを買うのだ』って言われて金ねぇべ…」と遠い目をする飯田に、ジョンが割り込む。
「フフフ…この展開は人生というドラマの美しい葛藤だ。我が主、鬼塚の憤怒は見事だな。」
「おらはドラマなんて見てる暇ねぇべ!」と飯田が呆れると、セリーヌが冷静に言う。
「ジョンさん、現実には他にも困難があることをお忘れなく。」
「その通りよ♡ 日常こそ重要だわ♡」
ヴァレリアが華やかな笑顔で乱入。
俺が「お前まで…」と呻くと、彼女はセリーヌに絡んだ。
「ふふ♡ セリーヌちゃん、そんな冷たくしないで…。私、あなたのこと知りたいのよ♡」
「え…」セリーヌが驚くと、ヴァレリアが続ける。
「だって、あなたも鬼塚くんに興味あるんでしょう?♡」
「そ、そんなことありません!」セリーヌが顔を赤くして目をそらす。
俺は「鬼塚が人気すぎる…」と呆れつつ、教室の黒板に「堕落ランキング更新中」と赤い文字が浮かんだのを見て背筋が寒くなった。
窓の外からは「更新中…」と不気味な笑い声が響き、頭がクラクラした。
飯田がしれっと言う。
「おら関わりたくねぇけど、セリーヌも頑張れよ。鬼塚の憤怒は上限で増えねぇらしいし。」
「飯田さんまで!? でも…桜木さんの43ポイントはまだ減らせますね」とセリーヌがメモに「昼寝計画」と書き込む。
「待て、セリーヌ! やめろ!」と俺が叫ぶと、ジョンがニヤニヤしながら言う。
「フフフ、我の強欲も上限だ。桜木、次の昼寝で堕ちるのを楽しみにしておるぞ。」
飯田とセリーヌが顔を見合わせて小さく笑い、ヴァレリアが「ふふ♡ 素敵な仲間ね」と絡む中、俺は「俺は堕ちねえ!」と決意したが、次のセリーヌの作戦が怖くて仕方なかった。
堕落するまであと91ポイント。