授業が終わり、俺――桜木翔太は疲れ果てて机に突っ伏していた。
セリーヌの「悪魔的」なテンションに振り回されっぱなしで、心臓が持たない。
その時、教室の片隅でオネエが鬼塚に話しかけてきた。
彼女の名前は「ヴァレリア・アーキュリオ」。
学校でも浮きまくる存在感で、まさにオネエそのものだ。
「鬼塚くん、ちょっといいかしら?♡」
ヴァレリアが甘い声で近づく。
そのしなやかな動きに、周囲の視線が集中。
鬼塚は不愛想に答えるが、顔に動揺がチラつく。
「おい、オネエ、なんだよ…。」
「フフッ♡ 相変わらずツンツンしてるわね。でも、そんなところも素敵よ♡」
「別にお前になんか言われたくねぇし。」
鬼塚が言い返すと、ヴァレリアは肩をすくめて微笑む。
「そう言わずに…♡ 少しは私を気に入ってるんでしょう?♡」
「お前、しつこいぞ…。マジで。」
ヴァレリアがさらに顔を近づけると、甘い香りが漂い、鬼塚が顔をしかめる。
「フフ、そんなに顔を赤くして…♡ もっと近づいてあげるわね♡」
「何!? お前…!」
鬼塚が思わず後ずさる中、俺は「鬼塚も大変だな…」と呆れつつ、隣でセリーヌが何かを企んでる気がして落ち着かなかった。
案の定、彼女が耳元で囁いてきた。
「桜木さん、鬼塚さんの憤怒見てると怠惰ポイントの参考になりますね。次は授業サボって昼寝計画ですよ!」
「セリーヌ、お前またか!? 平凡を守るため、そんなのに乗らねえぞ!」と俺は心で抵抗したが、彼女の笑顔に負けそうだった。
その時、ジョンが割り込んできた。
「フフフ…二人のやり取りは人間界の恋愛劇のようだな。」
古典的オタク気質でうなずくジョン。
悪魔なのに妙なオタク臭が漂う。
「ジョン、お前は黙ってろ…。何を楽しんでんだよ?」
鬼塚がうんざりすると、ヴァレリアがニコッと笑う。
「ジョンって変わってるわよね♡ 悪魔界でもそんなオタクなの?」
「フフ、我は『強欲』の悪魔ではなく、『古のオタク』だ。ヴァレリアよ、あなたもこのロマンスを楽しんだらどうだ?♡」
「フフッ♡ 私は演じる派よ。観賞はあなたにお任せするわ♡」
二人が軽く言い合う中、鬼塚が我慢の限界に達した。
「お前ら、どこまで絡んでくるんだよ!!!」
その怒声が教室に響き、窓の外から「堕落ランキング更新中…」と不気味な笑い声が聞こえてきた。
教室の壁には「憤怒1位 鬼塚」と赤い文字が浮かび、俺は背筋が寒くなった。
ヴァレリアは相変わらず微笑む。
「フフッ♡ 鬼塚くんが本気で怒るなんて、やっぱり私を気にしてるのね?」
「もう、うるせぇ!!!」
鬼塚が顔を真っ赤にして教室を飛び出すと、ヴァレリアが追いかける。
「大丈夫よ♡ 少しずつ私に惹かれていくんだから♡」
ジョンがニヤリと笑う。
「まさにドラマだな。我が主、鬼塚は楽しんでるようだな。」
「いや、楽しんでねぇよ…。」
騒動が収まり、俺はセリーヌに目をやると、彼女がメモに「昼寝計画」と書き込んでた。
「鬼塚の憤怒は1位でもう上限らしい。桜木さんの43ポイント、そろそろ減らしますね。」
「待て、セリーヌ! 何!?」
その瞬間、飯田が遠い目で呟いた。
「おら、強欲1位でジョンに『フィギュア100個追加しろ』って言われて…もう限界だべ…。」
教室が一瞬静まり返り、俺は思った。
「1位って大変だな…でも俺は堕ちねえ!」と決意を新たにしたが、セリーヌの次の作戦が怖くて仕方なかった。
堕落するまであと91ポイント。