「ちょ、ちょっと待て、セリーヌ! そんなこと言ってる場合じゃ…!」
朝、寮の部屋で朝食の話をしていたら、突然セリーヌに押し倒された俺は、慌てて彼女を押し戻そうとする。
だが、セリーヌはますます意気込んでいた。ブカブカのTシャツの裾がめくれ、下着がチラリと見えそうになり、俺は焦って顔を背ける。
「セリーヌ、お願いだから…」
「私、桜木さんにもっと褒めてもらえるように頑張る! 上級悪魔になるために、『怠惰』を極めるなら朝寝坊が最適ですよ!」
「いや、上級悪魔とかじゃなくて、普通に…学校行こうか? 授業とか、大事だし…」
「ふふふ、桜木さんは優しいなあ。私の情熱、わかってくれるんですね!」
まさか授業開始前にこんな展開になるとは…。俺は心の中で嘆きつつ、「平凡を守るためだ!」と気合いを入れてセリーヌを引き離し、急いで教室に向かった。
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授業が始まると、やっと少し落ち着いた雰囲気になる。だが、今日も問題児たちが大暴れしていた。
「さて、今日の授業は『日本史』だ。戦国時代について学ぼう。」
先生が白板にペンを走らせるが、どうも気分が乗らないらしい。
まあ、いつものことか。すると、教室の窓の外から「堕落ランキング更新中…」と不気味な笑い声が聞こえてきて、俺は思わず背筋が寒くなった。
「桜木君、なんか元気ないな。どうした?」
「いや、別に…」俺は顔を覆う。
「セリーヌ、また何かやらかしたのか?」
先生が俺をチラリと見ると、後ろの席のセリーヌはノートに落書きをしていた。
「先生、私は上級悪魔になる計画を練ってますから、真剣ですよ! 朝、桜木さんに押し倒されて『色欲』ポイント2稼げましたし!」
セリーヌが堂々と宣言。
周りの生徒が「またか…」とため息をつく中、俺は飛び上がりそうになった。
「ちょっと待て! 押し倒したのはお前だろ! しかもそれで2ポイント!?」
「ふふふ、細かいことは気にしないでください。次は授業サボってさらに怠惰ポイント稼ぎましょうね!」
「セリーヌ、それ授業と関係ないだろ!?」
「え? 怠惰を極めるのも大事な勉強ですよ! 見てみて、この悪魔イラスト、カッコいいでしょ?」
セリーヌがノートを見せようとするが、俺は反射的に背を向ける。
「見たくねえ! 平凡を守るため、お前には振り回されないぞ!」と心に誓ったが、心臓がバクバクしてた。
その時、前の方で鬼塚が呻き声を上げていた。
「桜木、助けてくれ…。憤怒1位のせいで、オネエが『愛の特訓だよ♡』って朝からキスマークつけやがった…」
顔を真っ赤にした鬼塚の首筋には、確かにキス跡が。隣の飯田も死んだ魚の目で呟く。
「おらも強欲と色欲1位で…ジョンが『エロ本が欲しいなら、フィギュアを貢げ』って徹夜させやがったべ…」
「フハハ!我が主よ、貢物で我を輝かせよ!」とジョンがポーズを決めるが、女子生徒がドン引きしてる。
「みんなキャラ濃すぎだろ…」俺は呆れつつ、1位の苦労を実感した。
「桜木君、授業に集中してるか?」
「し、してます!」俺は慌てて教科書を開く。
「なら、次の問題、桜木君。」
「えっ、次…!? はい、えっと…!」
焦って教科書をパラパラめくる俺に、先生が次を振る。
「じゃあ、セリーヌ。」
「はい、桜木さん、私が答えますね!」
「いや、お前に当てられたら大変だから、絶対間違えろよ…」と心の中で念じるが、セリーヌは鼻歌を歌いながら立ち上がった。
「答えられるか?」
「もちろん! 『戦国時代における権力争い』とは、悪魔のような策略を巡らせる一大ドラマ! 信長は鬼神のごとき存在で…」
「な、なに言ってんだ、セリーヌ!?」俺は半分パニックだ。
教室が一瞬静まり返り、全員が目を丸くする。先生はため息をついて。
「あー、まあ、それでいいか。悪魔的視点も大事だな。席に戻れ…」
セリーヌは得意げに席に戻り、俺ににっこり微笑んだ。
「桜木さん、どうして褒めてくれないんですか?」
「さすがにそこまで突っ込むとは思わなかった…」
「ふふ、私の悪魔的才能が開花するのも時間の問題ですよ!」
「こりゃ一生終わらないな…」俺は頭を抱えつつ、教室の黒板に「堕落者No.1 桜木翔太」と赤い文字が浮かんだのを見て、さらに不安になった。
堕落するまであと91ポイント。