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第2話 授業初日

私立南亜久学園へようこそ - 授業初日


俺は、ただ普通に高校生活を送りたかった。


なのに、悪魔見習いと仮契約させられ、しかも「堕落しろ」とお願いされる始末。

……とりあえず、授業を受けるしかない。


ていうか、オリエンテーションで聞いたが、道徳の授業 → 他人を騙す方法、家庭科 → 『契約書の偽造方法』を学ぶって倫理観が崩壊してんじゃねえか。

先輩たちは卒業できず教師にされている説もあるし。

どうなってんだ、この学校。


そして、これはあくまで噂だが、契約した先輩たちが教師になっており、「契約して最高だった!」と洗脳教育を行っているらしい。


1時間目:倫理の授業(担当:松井先生)

ガラガラッ。


教室に入ると、席はガラガラ。

なぜなら、悪魔が人間の生徒に変身しているからだ。

人間はおそらく3人。

ヤンキー、訛り特待生、俺だ。


「おはようございます。1時間目は倫理の授業です」


担任の松井先生が入ってくる。相変わらずやる気のなさそうな顔だ。

まあ、俺もやる気ねえけど。


「さて、みなさん。堕落にも種類があります。知っていますか?」


「……種類?」


「そう、7つの大罪です。傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲。悪魔たちはこれらの『堕落ポイント』を稼いでランクアップしていきます」


「堕落ポイント……?」


「みなさんには、どの部門の堕落が得意か診断を受けてもらいます」


「「「は?」」」


まさかの適性診断!?


「おいおい、冗談だろ……」


前の席のヤンキーが渋い顔をする。彼のパートナーは、なんとオネエの悪魔だった。

ずいぶんと派手なオネエだな、おい。


「いい男は堕落の素質があるのよ。期待してるわ♪」


「うるせえ!」


……色々とカオスすぎる。


そして、俺の診断結果が出た。


「桜木翔太くん、君は……『怠惰』部門でトップクラスの適性があります!」


「は?俺のどこが!?普通に生きてるだけだろ!?そういえば朝起きれないし、宿題もギリギリだし、夏休みの宿題は8月31日深夜にやるし……え、俺って怠惰だったのか……?」


俺、そんなに怠け者だったか?

自覚が無いだけか?

え、俺ってそんなに怠けてる?いやいや、昨日もちゃんと歯磨きしたし…(3日ぶりに)


「やった! これで学園トップを狙えますね!」


セリーヌが嬉しそうにガッツポーズを取る。


「いやいや、トップって……」


「ちなみに、現在の学園トップは――」


「――桜木翔太くん、君だよ」


「……は?」


「この学園の『堕落ポイント』ランキング、君が1位だ」


……何言ってんの、この人?


「お前、授業前にずっと机に突っ伏してただろ」


「昨日の課題、やってねーって言ってたしな」


「面倒くせーって口癖だしな」


「帰りたいって毎日言ってるしな」


「……」


ちょっと待て。俺って、もしかして 究極の怠け者 なのか?


トップってことは、あと50ポイントで堕ちるってことか......?


「桜木がトップってマジかよ!?」


前の席のヤンキーが驚く。


「俺は『憤怒』部門で3位だぜ?」


「おらは『強欲』で2位だべ……」


特待生の方も苦笑いしている。


「ちなみに、堕落ランキングのトップ3は――」


1位:桜木翔太(怠惰)

2位:ヤンキー・鬼塚(憤怒)

3位:特待生・飯田(強欲)


「つまり、桜木くんが学園の王者です!」


「いやいやいや、王者とかいらねえよ!?」


俺はただ平穏に過ごしたいだけなのに、なぜか学園のトップに君臨してしまった。


こうして、俺は学園の覇権を巡る戦いに巻き込まれることになった。


昼休み - ヤンキーとセリーヌの意気投合


「おい、桜木。お前、怠惰の王者とかマジかよ」


学食で昼飯を食っていると、ヤンキーの鬼塚が話しかけてきた。


「……そうらしい」


「ははっ、面白ぇな!」


意外にも、鬼塚は俺に対して敵意はないらしい。

助かった。

いじめられるかと思った。


「お前の悪魔ってどんなやつだ?」


「私はセリーヌ・マーガレットと申します」


「おー、なんか上品な感じだな」


セリーヌは軽く会釈した。


「鬼塚さんは……憤怒部門の3位でしたよね?」


「ああ。こいつのせいでな」


鬼塚が指差したのは、オネエの悪魔 だった。


「やぁん、鬼ちゃんたら照れちゃって可愛い♡」


「やめろ!!!」


鬼塚が顔を真っ赤にして叫ぶ。


「鬼ちゃんのこと鍛えてやるために、毎朝特訓してるのよ♡」


「特訓っていう名のビンタだろ!!」


どうやら、鬼塚は憤怒ポイントを稼がされまくっているらしい。


「ははっ、面白いですね!」


セリーヌが笑う。


「鬼塚さん、あなたは家族思いですよね?」


「は? まぁな。妹がいるし、親父も体悪いからよ」


「なるほど……あなたの怒りは、正義の怒りですね」


セリーヌが微笑む。


「あなたのような人なら、私は信頼できます」


「……へっ、そう言われると悪い気はしねぇな」


「それにしても、あなたの悪魔の方はなかなか個性的ですね」


「マジで勘弁してくれ!!!」


こうして、俺の相棒セリーヌと、ヤンキー鬼塚が意気投合することとなった。


堕落するまであと100ポイント。

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