その日は突然訪れた。
「聞こえているかね人類諸君」
「今日から世界は変わる」
「誰もが世界に理を作ることが出来るようになる」
「きみたちの目の前に理を記した書が出ているだろう」
「それが世界書だ」
「そこに理を書き加えればいい」
「ただし新たな理を有効になるのは少し後だ」
「ではまた」
寝ている時に突然頭の中に聞こえた声。
最初は夢かと思ったぐらいどう考えても荒唐無稽な話だった。
なのに信じるしかない。
だって慌てて飛び起きたら手元に世界書?というものがあるんだよ?
それだけならともかく、消したいと思えば消えるのは明らかにおかしい。
何かあり得ないことが起きていることが分かる。
その時、スマホの着信音が鳴り響いた。
すぐに電話に出るとバカでかい声が飛び込んでくる。
「おいおいおい、すごいことが起きてるぞ!!」
興奮冷めやらぬ様子で俺に電話をかけてきたのは、幼馴染の春日井翔だった。
「翔にも聞こえたのか?」
「SNSで見たけど全世界の人間が一斉に聞いたらしいぞ!!」
慌ててスマホでSNSを見ると日本では深夜にも関わらず大勢の人が書き込みをしている。
「まじかよ……」
「まじだよ、すげえ、こんな漫画みたいなこと起きるなんてな」
「これって何か出来るのかな?」
「本を開くとすげえぞ」
「どうやって開くんだよ」
「本だから手で開くに決まってるだろ」
恐る恐る本に手を伸ばしてみると触ることが出来た。
ハードカバーの分厚い本で触り心地は悪くない。
本を開いてみると勝手にページがめくれて止まった。
決まった位置にしかめくれないのかな?
本が開いた瞬間はそんなことを考えていたけど、そこに並んでいる文字を見てそんなことどうでもよくなった。
「理の作り方?」
「魔法が自分で作れるらしいぜ!!」
開かれたページは目次で理の作り方や使い方やリストなどが載っていた。
え、本当に魔法?
「今どんどん魔法が作られてるぞ」
「は?」
「リストの部分をタッチしてみろよ」
言われた通りタッチしてみると勝手にページがめくれた。
画面の切り替えがページめくりになっている感じで、本の形をしたスマホと言う感じだ。
リストのページは、左側のページに検索欄、右側のページに検索結果が出ているようだった。
今はリアルタイムにどんどん増えていっている。
「これ全部魔法?」
「そうだぜ、タッチしてみれば分かる」
分かりやすい効果の魔法を適当にタッチしてみる。
名称:炎
登録者:Oliver・J・Fox
効果:手から炎が出る。
消費MP:10
「まじかよ……」
思わず声が出てしまう。
子どもの頃、魔法使いになりたかった。
漫画やアニメの詠唱を必死に覚えて何度も何度も実際に試した。
もちろん一度たりとも魔法なんて使えなかったけどそれを使えるってことなのか。
「消費MPって何だ?」
「本の左下に現在MP/最大MPって表示があるだろ」
左下を見ると現在MP30/最大MP30と出ている。
つまり炎の魔法は3回使ったらMP0になるということだ。
「早く使ってみたいぜ」
「三回で弾切れなのはつらいけどね」
「たしかにな」
他にもたくさんの魔法がずらっと並んでいる。
ひとつひとつ見ていったけど、増えるペースのほうが明らかに速い。
ヤバい、こんなことが現実に起きるなんて。
会話するより調べたくて仕方ない。
「普段こんな時間まで起きてないからもう寝るよ」
「はぁ!? 今からg
電話を切り、ついでに電源もOFFにする。
ようやく人生で初めて夢中になれるものを見つけたんだ。