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スリッパ
スリッパ
ハマハマ
文芸・その他雑文・エッセイ
2025年02月26日
公開日
999字
完結済
ある日、キッチンの壁にへんなものを見つけた。
なんか変なお話しです。

野菜の袋のテープ

 野菜の袋を止めてるテープだと思ったの。

 でもちょっと変な色だなって。

 だって紫色の――なんて言うの、ほら、見る角度でなんかテラテラ色味が変わる、そんなやつ。


 でもサンドウィッチ作んなきゃだし目を離したの。ほんの少し。


 そしたら消しゴムくらいになってて。

 厚みもできて、少し大きくなって。

 相変わらずテラテラした紫で。


 なんだコレと思いながらもタマゴ割って黄身潰してレンジ入れて。

 で見たらまた大きくなっちゃって。


 ほらカマボコ。

 板にくっついてるアレ半分にしたくらい。

 あとで旦那に聞いたら質感もそんなだったって。


 旦那? 触ったと言うか、触られたと言うか。


 怖くなって旦那呼んだの。こっち来てくれーって。

 で二人してジッと見てると少しずつ大きくなってるの分かるのね。


 コンロの左側の壁。私の腰の高さあたりにくっついてたの。


 ほったらかしのタマゴ混ぜてもっかいチンした所で旦那が大きな声出すワケ。


『剥がれる剥がれる!』って。


 最初っからだったんだけど、縦に貼ったテープの下のところだけが壁にくっついてたんで、大きくなるにつれて上の方は壁から離れてきてたの。


 段々おじぎするみたいになって、ペリッ、って剥がれちゃって。落ちた先には素足の旦那の足。


 ビタン、って。足の甲に。


 わぁわぁわぁわぁ叫んでんの。思い出したら笑っちゃうわ。

 パースリでも履いてれば良かったのにね。


 なんとかしなきゃと思ったところでまた旦那が騒ぎ出したのよ。


いてっ!』って。


 すわ大変だ旦那が食われる!


 でも素手で触るのなんか嫌だったんで右手にビニール袋、左手には盾がわりにパースリ。

 けど喰われてるんじゃなかったの。


 足、生えてた。鳥の足みたいなやつ。


 あ、生き物なんだコレ、と思ってからはもうダメね。なんか変だけど情が湧いちゃって。


 これは様子見だねなんて言い合って、私はサンドウィッチ作りに戻ったの。

 座って様子見中の旦那の叫び声聞きながらサンドウィッチ作って、重し乗せて振り向いたら声掛けてたのよアレに。旦那が。


『名前、いるか?』って。


 そしたら、『ううん、いらない』って。

 断られてんのよウケるでしょ。


 あぁ、その後?

 いま中二。早いよね、来年受験なんだ。


 いや、だからそん時のテープがよ。

 そのまま見守ってたら赤ん坊になっちゃったんで、もうウチの子にしちゃって。


『ただいまー』


 あ、帰ってきた。


「足臭いんだからよく洗ってパースリ履いてよ〜!」


 なんであんな臭いんでしょうね。

 男子中学生の足って。

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