「嫌です☆」
お姉さんのお願いを食いぎみで断るも、妙なところでメンタルの強いお姉さんはそう簡単には引き下がってくれない。
「そんなこと言わずに、お願い! お姉さんを助けると思って!!」
情に訴えかけるように、涙目で食い下がってくるお姉さん。
そんな彼女の必死な様子に、よっぽど切羽詰まってることが伝わってくる。
「でもなぁ……。配信って、なんだか面倒そうじゃないですか」
カメラを用意して、配信用のアカウントを作って、その他にもいろいろと細かい準備をする必要がある。
その手間を乗り越えていざ配信をしてみても、視聴者に見てもらえる保証もない。
もし私が配信をして視聴者がゼロだった日には、きっとしばらくは立ち直れないだろう。
「そこはほら、管理局のコネを使ってどうとでもなるから。カメラだって、こっちで用意するし」
そんな私の心配を察してか、お姉さんはとんでもないことを言い出した。
「それってつまり、サクラを動員するってことでしょ? 嫌ですよ、そんなの」
するならせめて、私にバレないようにやってほしい。
そんな考えが表情に出ていたのか、それを察したお姉さんは少し慌てた様子で首を横に振る。
「いやいや、さすがにサクラなんて用意できないよ。そもそも、そんなことができるほど予算もでないみたいだし」
「それはそれで、大丈夫なんですか……? カメラとかって、けっこう良い値段しますけど……」
「それは、まぁ……。なんとかなるって! そもそも、まずは配信者になってくれる人が見つからないと話にもならないし」
「確かにそうですね。応援してるんで、頑張ってください。じゃあ私は帰るんで、お金はいつも通り口座に振り込んでおいてください」
このままだとなんだか押し切られてしまいそうな予感がして、私は少し強引に話を切り上げる。
ちょうど素材の買取査定も終わったみたいだし、個人的には良いタイミングだったと思う。
なおもなにか言いたげなお姉さんを無視して帰ろうとすると、不意に奥の扉が大きな音を立てて開いた。
「ああ、
その扉から慌てた様子で飛び出してきた支部長は、私の姿を見つけると一目散に駆け寄ってきた。
その様子は明らかにただごとではなく、辺りにはさっきまでとは違い緊迫した雰囲気が漂い始める。
同時に私は、またなにか面倒ごとに巻き込まれる予感をひしひしと感じていた。
「どうしたんですか? そんなに慌てて、なにかあったんですか?」
「そ、それが……。ダンジョン内で異常な数値の魔力上昇が感知されまして。もしかしたら、イレギュラーが発生したのかもしれません!」