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第15話 約束の場所へ…

「未央奈さん!」

悠理は、未央奈を見付けて駆け寄った。


「ゆ、悠理ちゃん…。」

未央奈は、悠理を見た。


「は、遥香は…?」

と、悠理は訊いた。


「……。」

未央奈は、黙って首を横に振った。


「え!?」

悠理は、驚きを隠せなかった。


━━ここは宇都宮市内の総合病院。


悠理は、未央奈からの電話で宇都宮に戻って来ていた。



━━遡る事、約二時間前。


パレットタウンの大観覧車の前で、未央奈からの電話を受けた。


「未央奈さん、何で…遥香の携帯から…。」

と、悠理は訊いた。


『は、遥香が…。』

未央奈は声を震わせながら、

『遥香が…交通事故に…遭ったの…。』


「ほ、本当ですか?」

悠理の声も震えていた。


「うん、パレットタウンに行くって、家を出て…。」


「!?」

悠理は愕然とした。



そして、病院の場所を聞いた悠理は、急いで向かった。


急いでいた悠理は、東京から新幹線を使ったが、それでも約二時間程掛かってしまった。


病院に駆け込んだ悠理は、未央奈を見付けて声を掛けたのだ。



「は、遥香…。」

悠理は、その場にへたりこんでしまった。


「遥香に…。」

未央奈は涙を浮かべながら、

「遥香に、会ってあげて…。」

と言った。


「……。」

悠理は黙って頷いた。



━━病院内の霊安室…。


悠理は、遥香を見つめた。


遥香は横たわって、眠っているようだった。


“奇跡的”というと言葉は悪いかもしれないが、顔は無傷なので、本当に眠っているようだ。


「遥香…。」

悠理は、呟くように言った。

涙が溢れて来た。



━━病院のロビー。


悠理はソファーに座って泣いていた。


「遥香…ごめんね…。」

悠理は泣きながら言った。


傍には未央奈と、みなみがいる。

━━この病院は、みなみの勤務先でもあった。


「私が…いけないんだ…。」

悠理は声を震わせながら、

「私が…遥香の命を奪ったんだ…。」

と言った。


「悠理ちゃんは、何も悪くないじゃない…。」

と言って、未央奈は悠理の隣に座った。


「未央奈さん…。

私が…遥香と友達にならなければ…遥香は…こんな目に遭わなかったんです…。」

と、悠理は泣きながら言った。


「悠理ちゃん…。」

未央奈は悠理を見つめた。


「やっぱり…私は…地獄少女なんだ…。

私に関わった人は、皆んな不幸になるんだ…。

遥香だって…私が去年のクリスマスに、また…パレットタウンに行きたいなんて…言ったから…。

私がそんな事を口にしなかったら…。

遥香は…事故に遭わずに…済んだのに…。

私が…私が…私が…遥香の笑顔も…未来も…全部…奪ったんだ…。

私は…地獄少女!

私は関わった人を不幸にするんだ!

私なんか、生きていちゃいけないんだ!

生まれて来ちゃいけなかったんだ!」

悠理の言葉は、最後には泣き叫ぶようになっていた。


「それは違うよ!」

未央奈は強い口調で言うと、

「全く…逆なの…。」

と、悠理の肩を抱いた。


「!?」

悠理は未央奈を見て、

「ぎゃ、逆っ…て…?」

と言った。


「悠理ちゃんの…お陰なの…。」

と、未央奈は言った。


「ど、どういう…意味…ですか…?」

と、悠理は未央奈を見た。


「悠理ちゃんが…いてくれたから…。」

未央奈は涙を浮かべながら、

「悠理ちゃんと…出会えたから…。

あの子は…遥香は…。

長生き出来たの…。」

と言った。


「え?」

悠理は、驚きを隠せなかった。


「遥香は…元々…。」

未央奈は悠理を見つめて、

「長くは生きられなかったの…。」

と言った。


「!?」

悠理は、言葉を失った。


「悠理ちゃんのお陰なんだよ。」

と、みなみが言った。


「み、みなみさん…。」

悠理は、みなみを見た。


「私、遥香ちゃんの担当だったから…。」

みなみは未央奈を見て、

「悠理ちゃんに…話しても…いい…?」

と訊いた。


「うん。」

未央奈は頷いた。


「悠理ちゃん…。」

みなみは悠理を見た。


「……。」

悠理は黙って、みなみを見た。


「遥香ちゃん…。」

みなみは少し間を置いて、

「心臓病…だったの…。」

と言った。


「!?」

悠理は再び言葉を失った。


「それも…。」

みなみは声を震わせながら、

「手術しても治らない…心臓病…だったの…。」

と言った。


「な、治らない…?」

悠理は二人を見た。


「ええ。」

みなみは頷くと、

「心臓病にも色々と種類があって、手術すれば治る心臓病もあれば、手術しても治らないというか、完治しにくい心臓病もあるの…。」

と言った。


「遥香が…。」

悠理は声を震わせながら、

「治らない…心臓病…。」

と、呟くように言った。

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