目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第14話 それぞれの想い…

「悠理…。」

紗耶が声を掛けて来た。

横にはさくらもいた。


「何?」

悠理は二人を見た。


━━2019年6月のある日…。

ここは日向高校の悠理のクラス。


紗耶とさくらも同じクラスになった。


悠理が座っている席に、二人が来たのだ。


「最近、元気ないね…。」

今度は、さくらが言った。


「そ、そうかな…。」

と、悠理は答えた。


「うん、ゴールデンウィーク明けたくらいから、落ち込んでる感じがした。」

紗耶も心配そうに言った。


「何かあったの?」

さくらが訊いた。


「べ、別に…。」

と、悠理は言葉を濁した。


「そっか…。」

さくらは微笑すると、

「何かあったら、いつでも相談してね。」

と言った。


「友達なんだから。」

と、紗耶も続いた。


「ありがとう…。」

悠理は二人に言った。


二人は、悠理の席から離れようとした。


「━━ねぇ…。」

悠理は、二人を呼び止めた。


「ん?」

紗耶が振り返った。


「友達同士の会話で、【死にたい】とかって、言った事ある?」

と、悠理は訊いた。


「死にたい?」

今度はさくらが悠理を見た。


「本当に死にたいって意味で?」

紗耶が訊く。


「ううん、冗談みたいな感じで…。」

と、悠理は答えた。


「それなら、毎日のように言ってるよ。」

さくらは紗耶を見て、

「ねぇ。」

と言った。


「うん、テストの点数が悪い時とか【死にたい】を連発してるってか、【死んだ】くらい言ってるよ。」

と、紗耶は苦笑した。


「だよ…ね…。」

悠理は呟くように言った。


「それが…どうかしたの?」

と、さくらが訊いた。


「ううん、大丈夫、ありがとう。」

と、悠理は言った。



━━2019年8月7日の夜…。


「ただいま。」

と言って、未央奈は部屋に入って来た。


━━ここは、遥香と未央奈が住んでいるマンションである。


遥香達の両親は、遥香が高校一年生の時に交通事故で亡くなってしまったので、遥香と未央奈の二人暮らしである。


「おかえり。」

と、遥香は言った。


「最近、元気ないね。」

と、未央奈が訊いた。


「べ、別に、そんな事ないけど…。」

と、遥香は答えた。


「悠理ちゃんと喧嘩でもした?」

と、未央奈は遥香を見た。


「え?」

と、遥香も未央奈を見た。


「最近、悠理ちゃんの話をしてくれなくなったから…。」

と、未央奈は心配そうに言った。


「そ、そうかな…。」

遥香は言葉を濁した。


「そういえば…。」

未央奈は思い出したように、

「悠理ちゃん、大阪の大学に行くんでしょ?」

と訊いた。


「え!?」

遥香は、

驚きを隠せなかった。


「知らなかったの?」

と、未央奈も目を丸くした。


「う、うん…。」

遥香は頷くと、

「何でお姉ちゃんは知ってるの?」

と訊いた。


「エステに行った時に、菅井さんから聞いたのよ。」

と、未央奈は答えた。


「そうなんだ…。」

と、遥香は呟くように言った。


━━実は、悠理が遥香に話す前に喧嘩してしまったのだ。


「明日は…。」

未央奈は少し間を置いて、

「遥香達の誕生日だね…。」

と言った。


「!?」

遥香はハッとした。


「お姉ちゃん…。」

遥香は未央奈を見た。


「何?」

未央奈も遥香を見た。


「実はね…」

と、遥香は未央奈を見た…。



━━翌日。


「綾乃ちゃん、行って来ます。」

と、悠理は綾乃に声を掛けた。


「行ってらっしゃい。」

綾乃は悠理の姿を見て、

「似合ってるよ。」

と言った。


悠理は普段は着ない様な、お洒落な服装だった。


「ありがとう。」

悠理は微笑した。



━━パレットタウンの観覧車の前…。


悠理は、朝からずっと待っていた。



━━夕方になり、辺りも暗くなって来た。


「━━やっぱ…ダメだったかなぁ…。」

悠理は諦めて帰ろうとした。


【プルルルル】


突然、悠理の携帯電話が鳴った…。


「!?」

悠理は、携帯電話の着信表示を見てハッとした。


━━遥香の名前が表示されていた。


「もしもし…。」

と、悠理は電話に出た。


『ゆ、悠理ちゃん…。』

と、電話の相手が言った。

━━どうやら、相手は遥香ではないらしい…。


「ど、どちら様…です…か?」

と、悠理は訊いた。


『み、未央奈です…。』

電話の相手は少し間を置いて、

『遥香の姉の…。』

と言った…。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?