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第6話 歴史ある商店街にて

綾乃は嬉しかった。


少しずつだが、悠理が明るくなってきていたからだ。


まだ、昔みたいに完全に明るくなった訳ではないが、それでも笑顔が戻りつつある…。


━━2018年7月のある土曜日。


シフトの関係で、綾乃は仕事が休みだった。


「悠理ちゃん。」

と、綾乃が声を掛けた。


「どうしたの?」

悠理が答えた。


「今日、私も悠理ちゃんも休みだから、一緒に何処かに出掛けない?」

と、綾乃が訊いた。


「うん、いいよ。」

と悠理は答えた。



━━二人は【オリオン通り商店街】に来ていた。


商店街というと、小さなアーケード通りを想像するだろうか?


しかし、オリオン通り商店街は違う。

昭和23年12月に出来た歴史ある商店街だ。

更に昭和42年には、全長280mに渡る全蓋ぜんがいアーケードが設置され、三角の屋根や石畳が印象的な、北関東随一の広域型商店街である。


「何か、良い感じの商店街だね。」

と悠理は言った。


「でしょ。」

綾乃は答えた。


しばらく歩いていると、


「━━悠理?」


何処からか、悠理を呼ぶような声がした。


悠理は、声のした方を見た。


━━遥香だった。


「遥香。」

悠理は笑顔になった。


遥香は、二人の女性と一緒にいた。


遥香は綾乃と目が合うと、

「初めまして、石森遥香です。」

と、頭を下げた。


「初めまして、悠理の従姉妹の菅井綾乃です。」

と、綾乃も頭を下げた。


「菅井さん?」

と、遥香と一緒にいる女性の一人が言った。


「石森様。」

と、綾乃は頭を下げた。


「お姉ちゃん達、お知り合いなの?」

と、遥香はその女性━━石森未央奈いしもり・みおなを見た。


━━石森未央奈、身長160cm、21歳。

肩先までの少しウェーブのかかった栗色の髪に、クリっとした目が特徴の美女だ。


「うん、私が通ってるエステの店員さん。」

と、未央奈は答えた。


「そうなの?」

今度は、悠理が綾乃を見た。


「うちのお店のお客様。」

と、綾乃が答えた。


どうやら、綾乃と未央奈は知り合いのようだ。


悠理は、もう一人の女性と目があった。


「初めまして、未央奈の友人の長沢みなみです。」

と、その女性━━長沢ながさわみなみは頭を下げた。


━━長沢みなみ、身長155cm、21歳。

軽く前髪を流した茶髪のロングヘアに、童顔がよく似合っている美女だ。

顔も声も可愛らしいので、【妹キャラ】っぽいが、実は長女でもある。


「みなみさんは、看護師さんなんだよ。」

と、遥香は悠理に説明した。


悠理は未央奈の服装に見とれていた。


未央奈は、【オフショルダー】といわれている、首から肩までが露出している、服を着ていた。


━━綾乃のお店で磨き上げたであろう鎖骨が、眩しすぎるほど美しかった。



(遥香のお姉さんは美人だから似合うけど、私が着ても似合わないだろうなぁ…)

と、悠理は思っていた。


それに気付いた遥香は、

「お姉ちゃんの服、色っぽい?」

と、悠理に訊いた。


「うん。」

と、悠理は頷いた。


「ごめんね、ウチのお姉ちゃん、ストイックな変態なの。」

と、遥香が悪戯っぽく謝った。


「こら、言い方!!」

と、未央奈もプク顔で怒る。


━━遥香、未央奈、みなみは笑い出した。


その光景を見た、悠理も笑顔になっていた。


それを見た綾乃は思った。

(悠理ちゃんが最近明るくなったのは、この遥香ちゃんのおかげかな?)


綾乃も笑顔になった。



━━帰りの車の中。


「友達の名前、遥香ちゃんだっけ?」

と、綾乃は運転しながら訊いた。


「うん。」

悠理は頷いた。


「可愛い子だね。」

綾乃は言った。


「うん。」

と、悠理は答えた。


「同じクラスの子?」

と、綾乃は訊いた。


「ううん、公園で知り合ったの。

欅女子高って言ってた。」

悠理は答えた。


「欅は、結構偏差値の高いお嬢様学校よ。」

と、綾乃が答えた。


ちなみに偏差値は、


欅女子高59

日向高校49

乃木学園69


である。


悠理は栃木に来る際、不登校などで勉強が遅れている可能性もある為、念の為にランクを下げておいたのだ。


(遥香ちゃん、ありがとう…)

綾乃は心の中で感謝していた…。

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