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第4話 半分、貰うよ

「地獄少女?」

遥香は悠理を見た。


「うん。」

悠理は頷いた。


「アニオタか何か?

なら私もアニオタだから、気が合うかもよ。」

と、遥香は言った。


「ううん。」

悠理は、首を横に振って、

「━━違うの…。」

と続けた。


「違う?」

遥香は首を傾げた。


「私と関わった人は死ぬ…。

関わった人を不幸にする女…。

地獄の使いみたいな少女…。

地獄少女…。

前の学校で、そう言われていたの…。」

と、悠理は呟くように答えた。


「……。」

遥香は、黙って悠理を見ていた。


「だから…。」

悠理は遥香を見つめて、

「私とは…友達にならない方が…いいよ…。

私…呪われてるから…。」

と言った。


「……。」

遥香は少し考えてから、

「半分、貰ってあげる。」

と言った。


「?」

悠理には、意味が分からなかった。


「あなたが本当に呪われてるなら、その呪い、私が半分貰ってあげる。」

と、遥香は言った。


「え?」

悠理は遥香を見た。


「あ、半分じゃ不満?

なら、全部貰うよ。」

と、遥香は答えた。


「そうじゃなくて…。」

と悠理は言った。


「ん?」

と遥香は悠理を見た。


「どうして…?

初対面の私なんかの為に…?」

と、悠理は訊いた。


「上手く説明は出来ないんだけど、あなたと友達になりたいの。」

と、遥香は答えた。


「……。」

悠理は、遥香を見つめた。


「そんな理由じゃ駄目かな?」

と、遥香は訊いた。


「━━いいの…?」

悠理は少し間をおいて、

「私なんかで…いいの…?」

と続けた。


「あなた“なんか”じゃなくて…」

遥香は真っ直ぐに悠理を見つめて、

「あなた“が”いいの。」

と言った。


━━悠理は戸惑った。

自分と友達になんかなったら、この子まで不幸にしてしまうのではないか?


でも、久し振りに触れた同じ年頃の少女の優しさに、凍りついた悠理の心の扉が開こうとしていた。


「あ…あり…がとう…。」

悠理は頭を下げた。


「悠理って呼んでもいい?」

と遥香が訊いた。


「うん。」

悠理は頷いた。


「私の事も遥香でいいからね。」

と、遥香は言った。


「うん。」

悠理は答えた。


「じゃあ、携帯の番号交換しない?」

と、遥香が言った。


「うん、いいよ。」

と、悠理は答えた。


そして二人は携帯の番号を交換した。


「私さぁ、誕生日が夏休み中だから、いつも宿題に追われながら誕生日迎えてるんだ…。」

ふと、遥香は言った。


「ホントに?

私の誕生日も夏休み中だよ。」

と、悠理は答えた。


「そうなの?

ちなみに私の誕生日は8月8日だよ。」

と、遥香は言った。


「!?」

悠理は目を丸くして、

「私も…8月…8日…。」

と言った。


「嘘?

同じ誕生日なの?

2001年の8月…8日?」

遥香も驚きを隠せない。


「うん。」

悠理は頷いた。


「凄い、奇跡みたいだね。」

と、遥香は言った。


「そうだね。」

と悠理も答えた。


━━その時、悠理の顔が一瞬微笑んだ。


「可愛い!!」

遥香は、思わず声を上げた。


「え?」

悠理には意味が分からなかった。


「悠理の笑顔、すごく可愛い!!」

と、遥香は言った。


「私の…笑顔が…?」

と、悠理は訊いた。


「うん、見てるこっちまで幸せな気分になれる素敵な笑顔だね。」

と、遥香は笑顔で答えた。


「ありが…とう…。」

悠理は言った。


━━悠理は照れくさかった。

そんなにストレートに笑顔を褒められたのは初めてだった。


━━悠理には遥香の笑顔の方が眩しかった。


よく、素敵な笑顔の事を【太陽のような笑顔】などと言ったりするが、その言葉は遥香の為に存在するのではと思ってしまう程、遥香の笑顔は輝いていた。


悠理の心は、遥香の笑顔で満たされた。


━━同時に、自分のせいで遥香から笑顔を奪ってしまうのではないかと、不安になった…。


━━遥香は、悠理が【地獄少女】と呼ばれていた事について、悠理が答えた後は、それ以上は何も訊かなかった。


「遥香…。」

悠理は、遥香の方を見た。


「何?」

遥香も悠理を見た。


「私が地獄少女って呼ばれてた事、それ以上は訊いてこないんだね…。

怖く…ないの?」

悠理は、不安そうに訊いた。


「うん、怖くないよ。」

遥香は悠理を見つめて、

「例え本当に悠理が地獄からの使いだとしても、私には関係ない。」

と続けた。


「え?」

悠理も遥香を見つめ返した。


「地獄から来ようが天国から来ようが、悠理は悠理…。

私の大切な友達。」

と、遥香は言った。


「ありがとう…遥香…。」

呟くように悠理は言った。


それから二人は、色々な話題で盛り上がった…。

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