アリアがクローンたちと死闘を繰り広げていた頃。
ハルトたちは都市中枢に向かう地下のセキュリティトンネルを進んでいた。
シティ全てを統括するAIシステム「ノイント」へ向かうためだった。
その道を塞ぐのは、キハールを戦闘向けに改造された「キハール・ツヴァイ」とエリート兵士たちだった。
「ここを突破しなければ、アリアの戦いが無駄になってしまう」
「そのために僕たちがいるんじゃあないか」
「そうです。ノア、行けますね?」
「当然だ、セラフィナ。ハルトのために血路を開こうじゃあないか!」
「無論!」
ノアとセラフィナが装備を展開した。
ノアは両腕に装着したレーザーライフルでキハール・ツヴァイを撃墜していき、セラフィナは高周波ブレードでエリート兵士の兵装を破壊していく。
「先に行ってくれ、ハルト! 僕たちはここで食い止める!」
「………ッ! すまない!!」
ハルトは一足先にノイントへ向かっていく。
□ ■ □ ■ □ ■
セキュリティトンネルを駆け抜けること数分。ノイントの制御端末にたどり着いたハルト。
「……なんて……こった……」
ノイントの制御端末としていくつものコンピュータが並べられている。
その中には、生体コンピュータとして使っているのか、いくつもの女性の肉体がカプセルの中に閉じ込められていた。
「ハイペリオンはこんな方法で……」
呆然と立ち尽くすハルト。
『侵入者発見。防衛プログラム機能開始』
ノイントがレーザーガンの銃口をハルトに向けている。
ノイントの放つレーザーがハルトに届くことはなかった。
「……ノア」
ノアのレーザーライフルが、ノイントのレーザーガンを撃ち落としたからである。
「どうしたんだい、ハルト」
「見てくれ……」
ノアは言葉を失った。
「どうした、二人とも……。なんだ、この異様な光景は……!」
セラフィナはノイントの制御端末を見て驚いた。
「生身の女性を生体コンピュータに使っているのか……!?」
「あぁ」
「ノイントを止めてしまったら彼女たちは死んでしまう……かといって止めなければ、市民たちが……」
「――ならば、彼女たちには犠牲になってもらうしかない。おそらく生命反応もないだろう」
「クッ……!!」
ハルトは悔しそうな表情を浮かべる。
「ならば、ノイント・コアに侵入し、休眠してもらう他ない」
「そうか……その手があったのか……」
「ノイントには眠ってもらうしかないかな。それしか生体コンピュータを活かす手段はないと思う」
「ありがとう、ノア、セラフィナ。……では、ノイント・コアには眠ってもらおう……」
ハルトとセラフィナは、ノイント・コアにアクセスして、スリープモードの設定を行った。
『ノイントの全機能を一時停止します――』
機械音声とともに、ノイントはすべての機能を一時停止という形ではあるが止まった。
「あとはアリアたちがうまく行ってくれるかどうかだが……」
「アリアならきっとうまくやっているさ。さ、僕たちは地上に戻ろう」