注意:映画ヒプノシスマイクのネタバレを含みます
人間は刺激を求める。あるいはネタという形で。
知り合いの趣味に付き合い、わたしは映画『ヒプノシスマイク』を観た。それがキッカケとなり、自分が普段してる日常生活では味わえぬおもしろい体験をすることができた。
ネタにもなる。勉強にもなる。以外な出会いもあるかもしれない。そんなこんなで映画館に足を運び視聴してみたヒプマイ。はてさて、この男はどんな気持ちでイケメンたちを観てたのでしょうか?
:音楽とは? そして男性とは?:
わたしオトコだけど存外楽しんでますよ?
ラップとは、リズミカルな曲調に合わせて"ことば"による独特な形式をもつ歌ジャンル。ノリの良いテンポはもちろん、己の魂を込めた歌詞による強烈なビートが最大の特徴となる。
曲調は魂の発露。その本質はことばにある。互いの想いをぶつけあうという意味で、ラップという題材はパーフェクトなんだろう。そんなことを考えている間に2回戦の投票タイムへ突入。勝者は――ッ!
どついたれ本舗! いやー彼らはわかりやすいテーマだよね。今を楽しもう。そんな気持ちが伝わってきてわたしもついつい心の中で投票してました。
そこでふと考える。自分があのマイクを手に取ったらどんなアバターがあらわれどんな歌をうたうのだろうか? うーんよくわかんないからとりあえずシャウトでよろしく。
そしてファーストステージ最終戦。知り合いの推しとショタっ子の激突。ああ、彼らは顔見知りどころか普段からごいっしょしてる仲であると。犬猿の仲? いやこれ仲良しじゃね?
噛み合わないようでガッツリ合ってる。うーんなるほど、こういう関係も女性好みの設定なのかな?
なにはともあれバトル開始。うーん、今までとは様相が異なる感じがしました。なんていうか、バチバチの戦いっていうよか話し合い? 対話的な? なんかこう、反抗期の子どもに苦悩するパパみたいな雰囲気に見えました(笑
とりあえずジャクライの強者感は伝わった。ウラで暗躍してる雰囲気だけは伝わった。これアレだろ、なんかの組織束ねてる系男子だろ。んでラムダはなんかの実験のモルモットにされてジャクライに保護された的な設定あるだろと勝手に妄想してました。
いやちゃうねん、わたしほんっとにヒプマイの前知識ゼロで観てんのよ。こんくらいの妄想ゆるして?
いまさらだけどギャンブラーがアバターまでギャンブルなの草。いっそ潔しそのまま邁進してくだされば。なお金は貸さん貸せるほど裕福でもなし。
しつこいようですがどの曲もすばらしいです。ラップ調なので基本アゲアゲ系ですがその中に各キャラの信念やキャラクター性が込められていて、初見のわたしでもなんとなーくみんなの個性が垣間見えるようでした。
そして投票結果は――まてんろう!
はじめは子どもに同情的で『Fling Posse』に一票といきたかったところですが、ここはパパの言うこと聞いておけということで、わたしも心のなかでまてんろうさんに一票入れておきました。えーっと漢字は『麻天狼』か、なるほどカッコイイ。
結果発表後にパパ(ジャクライ)にアゲてオトされるラムダくんかわいい。あのクソガキ感がまたおもしろいね。
ここまでひとしきり観てって気付いたことがひとつ。当たり前だけど、ヒプマイは男性向け作品とは違ったつくりをしていました。
話の設定とかそういうんじゃなくキャラクターデザインの話。たとえば手の構造。男性向け作品だと、女性の手ってわりと小さめに描かれることが多いのです。それこそ男性キャラでさえ小さくなりガチ。
それがヒプマイのキャラはみーんなゴツっとしてて大きい。ラムダくんでさえスジがはっきりと見えるくらい。そしてみんな高身長。うん、男性はおっぱいの大きな女性を好み、女性は身長が高い男性を好むということか。
なるほど(なにが?
:セカンドステージ:
次の戦いはどうなるのだろう? 3チームが勝ち上がったので1vs1形式はもう使えないはず。そう考えてそうそう答えが返ってきました。
それぞれのチームで持ち歌を披露し投票してもらう形式のようです。なるほど、制作者の「好きなチームのPVを観たいなら投票で勝ち上がらせてね☆」的なメッセージを感じた。
2.5次元で描かれるPVは爽快なものでした。まずはテンプルのお寺で大暴れPV、続けて本舗さんの遊園地アトラクション化計画、さいごにしっとりバラード調のまてんろう。
特に惹かれたのは麻天狼の『BLESS YOU』でした。くたびれたサラリーマンとなんか影がありそうなパパに対し、あのホストさんがやさしく語りかける風味。
ひとりだけじゃない。家族のようにいっしょにいてくれる人がいる。悲しいことばを口ずさむキミに、神じゃなくぼくが答えるよ。
生まれてくれてありがとう――これは神曲だわ。覚えなきゃ(使命感
わりとマジでそう思いました。YouTubeとかであるのかね? なんだったらほんとに次のヒトカラで熱唱してみたい気持ちマシマシです。男性の歌だからうたいやすそうだしね。
わたしは心の中で麻天狼に投票。そして結果は――ッ!
麻天狼!! うーんすばらしい。これまでラップ調を聴き続けたのもあってかなり印象に残った。それぞれのメンバーもすばらしいパフォーマンスを見せてくれましたが、今回はパパに軍配が上がりましたね(もはやパパとしか認識できなくなってる模様
ここでふと考えた。あれ、もしかして決勝も投票システム?
いやだってボス戦だよ? ここはプリキュアよろしくみんなの声援でなんかイケメンがナゾのパワーを発揮してすっげ-ユニゾン的な展開になるんじゃない? いやでもこの流れは決勝も投票だよな?
もひとつ気付いたこと。シアターにいるお客さんが躊躇せず拍手できるように、拍手SEが背後から盛り込まれていたように感じます。あと声援も。
さらに気付いたこと。ヒプマイの世界線では『次の日にとつぜん有給をとることが可能な世界線』ということ。いや、ほらあの疲れたサラリーマンがそんなセリフ口にしてたじゃん? 言うてまあ、実際の社会でも「ごめん! 明日やすむわ!」くらいのことしてもいーと思うししてる会社もあると思うんだけどね?
ちなみに、後で知り合いから聞いた話だと有給を使って全国の映画館に行脚するヒプマイファンもいるとのこと。投票はシアター毎に行われるから、地域によってどのチームが勝ちやすいとかがあるらしい。で、わざわざ好みのキャラの"地元"まで行脚して応援しに行くのだとか。
すげぇ情熱だな。それは脱帽だわ。
:女性だからこその強さ:
決勝はあの女性陣との戦い。わたしはいろんな意味で予測不能でした。
男性/女性向けの作品を描く場合、それぞれの同性をどう表現するかはとてもデリケートだと思います。ヘタにキャラ付けしてしまうと批判のもとになる場合もあり、だからといって無個性にすれば「そいついる?」となってしまう。
同性にウケるキャラ付け。コレ難しいよね。
この感想を書いてる現時点、ほんの少しだけヒプマイに関して調べてみました。もちろん女性陣(中"王"区のみなさん)も。そしたらビックリ仰天めちゃくちゃ人気あるのな。YouTubeで再生数1640万越えってとんでもなくね?
わたし、勝手に『同性受けするキャラがいる作品は名作』という判断をしてます。ってことでヒプマイは名作だと思います。ってことで、こっから映画初見時のわたしに戻るのでご了承ください。
相変わらず長髪ぱっつんの総理。こういう地味系な女性のほうがウケるのかなぁ? と思いつつ、やっぱり赤髪のおっぱいが気になる罪深い男子がここにいる。ただ地味に気になるのが軍服姿の女性、名前はしらん。
ああいう大人しく主張しないタイプの子はけっこう"秘めてる"んだけど、はてさて歌じゃどう表現されるのかな?
互いのことばの応酬、そして中王区のアバター登場! やっべぇしっかりラスボスっぽいカッコイイ! ――あっ。
女の人の瞳がみんな"一"だ。やっぱ性によって変わるん? それなら染色体的な意味で"X/Y"にしても良かったんじゃないかな? とあまり意味のないことを考えつつ、いよいよ彼らの戦いがはじまりました!
ラップは互いの想いをぶつける音楽。そのなかで、中王区のみなさまがもつ想いが感じ取れました。
これまでの日本を生み出してきた、きてしまった『男』という存在への失望と絶望。それなら自分たちの手で掴み取ってやるという決意。もう決して手放したくないという渇望。てめぇらがこんな日本にしやがったんだ! これからはアタイらがやってやんよ口出すんじゃねぇ! みたいな感じ?
んで軍服姿の女性、今更だけどなまえはネム(漢字わからん)ね。彼女のターンやっぱ"強い"ことばが溢れてましたね。うん、なんかいろいろと苦労してんのかな? っていう気持ちにもなりましたし、同時に彼女の"強さ"というものを感じました。
彼女たちの主義主張、歌詞、そこに秘められた想い……それを想像すると、彼女たちのことばを否定できなくなりました。麻天狼のメンバーもことばを尽くして戦います。途中、総理大臣であるオトメ氏がラップをよそに呟きかけますがそこはアカンとネム氏がラッピング。激しい絶唱は宇宙空間的なアレで惑星激突的な展開に。
彼女たちの気持ちはよくわかる。わかるけど歌詞やそれぞれの想いを汲んだ結果麻天狼に一票を送りたいと思います。んで結果は? ――ッ!
麻天狼!!!
推しキャラの勝利で知り合いもさぞお喜びでしょう。彼らも彼女らもやりきった。わたしは両者の健闘をたたえたい。そしていい雰囲気になりつつ、優勝者の最終PVご披露! なるほどサービス精神豊富ですね制作陣。
ふとうしろを振り向いた。ああやっぱりみんなキラキラ振り回してますねぇ。そんななかポップコーンを貪ってるわたし、プライスレス。
ジャクライが言った(だよね?)「ことばは使い方ひとつで武器になる」的なセリフ。これは現代社会を生きるわたしたちにこそふさわしいメッセージでしょう。いまはSNSですぐに拡散され、それが"悪"とみなされればあちこちから批難の声が飛ぶ。
悪を罰するためならどんな言葉を使ってもいい。今の世の中、なんかそんな風潮になっちゃってませんか? 的なメッセージを受け取りつつ、ジャクライ氏がマイクを落としたのはアレか? あのマイクには精神に訴えかけるパワーがあるから、みんなに"素"の想いを感じてもらいたいとかそういうニュアンスがあるのかな?
だからこその
さいごはみんな集まって大団円だね! 勝者の語りからそのままエンディングにはいり、今までの登場人物がミックスして歌を披露。だれがどう勝ち上がってもハッピーエンドなのはわたし的にも大歓迎ですよ。
エンディングの歌詞も興味深い。ラップ、熱い想い、言葉をテーマにしてるからこそ「言葉の力で世界を平和にしようぜ!」みたいな感じだった。彼らの願いはきっと叶えられるでしょう。マイクがなくたって、人のこころにはみんな同じ想いが渦巻いているのだから。
でも最後にひとつだけいい?
イジチクさん、そのおっぱい隠してもらってよろしいでしょうか?
いや違うんです! いやそういう意味じゃなくて、そういう意味ってどういう意味なのか詰められると何も言えなくなっちゃうんだけどそうじゃなくて! コイントスのたびに強調されすぎとかそういうアレじゃなくて!
ちゃうねん、これが男としてのマナーというか礼儀というかア、ゴメンナサイいまの発言は世界中の女性を敵に回すものでした謹んでお詫び申し上げます。
いやでも、こうして大団円になったんだし、男に対するヘイト的なアレもあるでしょうけど、うん、もうしまっちゃっていいんじゃないかしら? その谷間。
:思いの外楽しめた:
ほんの出来心でした。
知り合いに誘われて、たまにはネタとしていいかな? と視聴してみた結果、わたしにとって初めての経験がたくさんあり、新しい刺激とたくさんの思い出をいただけました。
テーマ良し、キャラ良し、ミュージック良し、応援良しということで素晴らしい作品。熱いラップだけでなくしっとりした曲調もあり、観る人の心を震わせるにこれ以上ない演出だったと思います。
これ男性にも勧められる作品なのでは? とくに音楽関連に興味あるなら必見の価値ありかもしれません。ラップでもなんでもあれこれやってますって方はとりあえず観てみてくださいな。
映画館を出て、知り合いとあれこれ話をしました。投票の分岐の話、主人公っぽいヤツがさいしょに脱落したの草とかいろいろ感想を交えつつ、これは女性ファンがリピートするのも頷けるなぁと。実際、知り合いも複数回映画館に足を運んでいて、今回とは異なるエンディングを視聴したこともあるようです。
ちなみに、その知り合いは今中王区勝利のシナリオが観たいとのこと。こんどどっか行くんだってさ。さすがにその遠征お誘いはお断りさせていただきましたが、この作品は『自らの手で運命を切り開く』的なおもしろさがあって楽しかったです。
なんだったら投票してみようか? ……いややめとこう。沼にはハマらん。
そんな決意をもちつつ、わたしは自分の車に戻るのでした。
はいこれが数週間前の話。投票結果は公式サイトで確認できるようですが、わたしがチェックしたところ、わたしが観に行った地元では中王区優勝パターンがけっこうあるようで、麻天狼はその次に人気だったようです。
何度も書きますが、わたしはヒプマイの前知識ゼロで視聴しました。ヒプマイっつー略称だって知り合いから教えてもらって初めて知った感じです。ですが、この映画視聴をキッカケにいろいろ興味が出てきました。まあ、気が向いたら調べてみたり、カラオケで歌ってみたりしようと思います。
キミはどのキャラ推しかな? 好きな曲はあるかな? いろいろな想いが捗りそうですが、今後も縁があればどこかでヒプマイについて書く機会があるかもしれませんね。
最後に知り合いさんへ。面白い刺激をありがとう。そしてこの文章を読んでくれたキミの人生に幸多からんことを願います。