「ここはどこ?」
「リディアーナ気がついたんだね、良かった。」とお父様は泣きながら抱きついて来た。
「お父様?私どうしたの?」
「デイラルト公爵の公子アルフォート様との顔合わせで急に倒れたんだよ。」
デイラルト公爵家の公子アルフォート様
「あっ、ーーーー。」そうだ私アルフォート様のお顔を見て前世の記憶を思いだしてキャバオーバーで倒れたんだったわ。
「お父様大事な席で倒れて、ご迷惑をお掛けしてごめんなさい。」私はしゅんとした。
「大丈夫だよ、デイラルト公爵様やアルフォート様は気にされていないよ、先程までいらしたけどアルフォート様はリディアーナが目が覚めるまでいると仰ったけど、いつ目が覚めるか分からない状態では公子様を待たせる訳にはいかないのでね、帰って頂いたよ。」
良かった、私は安堵した。
あのままアルフォート様がいては私の気持ちが落ち着かなかったわ。
「そうですか、デイラルト公子にお詫びと御礼のお手紙を書きますね。」それが良いとお父様は私の頭を撫でた。
「急に倒れたんだゆっくりお休み。」
「ありがとうお父様。」
もう少し考えてみよう、ゲームのアルフォート様はこの頃から利己的で冷たい少年で初めて出会った私に対しても最初から塩対応だったわ。冷たくて愛想がなく此方から話しかけても無視されていたのにーーーー可笑しい?
今日であったアルフォート様は天使のように可愛かった。
そうか、ゲームで出会うのは10歳の時でこの頃はまだアルフォート様の母親は生きている。だからか!
と言うことは十歳までにアルフォート様の母親は病で亡くなるのだ、それを阻止すればアルフォート様は冷徹少年にはならずこのままの心優しい青年に育つかも知れない。
良かった希望が見えて来た!
私が必ずアルフォート様のお母様をお助けするわ。
アルフォート様のお母様、リンルアン様確かお体が弱くアルフォート様をお産みになるのにも危ない状態だったようだが今は落ちつている。
いつから体が弱かっただろうか?そして何の病気だっただろうか?
嫁いで来た時にはもう既に体に弊害あがったはずだわ。
何の病気?風土病かなぁ
リンルアン様はファルリニア王国ファルリニア魔法学園へ隣国アーニャ国からの留学生でこられていた、波打つ美しい金の髪に晴れた空のような涼やかな瞳に美しい顔立ちスレンダーな肢体に輝く白き肌。皆リンルアン様に惹かれた勿論現国王様もその一人だ。
だがリンルアン様の隣を占めたのはアルフォート様の父親ラファル様だった。
この頃はまだお元気だったはずだわ。
じゃあ何?そうだこの1年後に流行る病か毒?
毒?
そういえばデイラルト公爵前公爵夫人がスズリンが好きで年中眺めることが出来るようにスズリンを育てていると聞いた。
スズリンには毒せがある、春から初夏には良い香をさせ真白な花を咲かせる可愛らしスズリン。
この可愛らしスズリンは全草に毒を持っていると聞く。
眺めて、香りを楽しむ分には何の問題も無いが切り花が生けてあったコップの水を飲んだ者が死んだ例があったと思う。
まさか信じたくもないが、リンルアン様が気に食わず食事やお茶に混ぜていたとかーーーー。
今もスズリンを盛られているのだろうーーーーこんな小さな私の話を聞く者がいるだろうか?
いるかも!
薬に興味のある魔塔の魔法薬師マディソン・クランプだ。
変わり者のマディソンだ、齢五歳の私の話をきいてくれるだろうか?