五歳のある日私はお父様に連れられて家(インデェール伯爵家)よりも豪華な邸に連れて来られた。
「リディアーナ、こちらは婚約者のデイラルト公爵家が嫡子アルフォート・デイラルト様だよご挨拶をなさい。」
デイラルト?確か家庭教師に習ったファルリニア王国の三大公爵の一つだわ。
私はまだ気づいていなかった。
「お初にお目にかかります。インデェール伯爵家が息女リディアーナ・インデェールでございます。」習いたてのつたない淑女の礼をする。
「私はデイラルト公爵が嫡子アルフォートです。」公子が可愛らしく微笑んだ。座って下さいと優しく言われた。
言われたとおり指定された席に座った。
アルフォート様との顔合わせで脳裏にストーリーが走馬灯のように巡った。
不意に脳裏に浮かんだ『婚約破棄』の4文字
婚約破棄とは?
婚約破棄と似たものに「婚約解消」というものがある婚約解消とは、婚約成立後に男女の合意により婚約を取りやめる場合に用いられる。すなわち、婚約破棄と婚約解消では、婚約の取りやめにあたって当事者の合意があるかないかで区別される。
婚約破棄は理由に「その婚約破棄が正当な理由のない一方的な婚約破棄である」どこからが不当な婚約破棄にあたるかは、どちらから婚約破棄を申し出たのかではなく、どのような理由による婚約破棄であったかによって判断される。
例えば正当な理由がある婚約破棄と不当な婚約破棄があるのです。
① 正当な理由がある婚約破棄
婚約破棄された側が、婚約者以外の人と性行為を行った。婚約破棄された側が、婚約破棄した人に対し、暴力・侮辱行為・解雇や経済状況の大幅な悪化、重度の精神疾患や身体障害などの健康状態の悪化、過去に重大な犯罪歴が発覚した・多額の借金の発覚等がある。
② 不当な理由による婚約破棄
性格の不一致、価値観の相違、婚約者以外に好きな人ができた、親が結婚に反対している
国籍、出身地、宗教などを理由とする差別
不当な理由による婚約破棄があった場合には、一般的相場の慰謝料が取れつるがその時のケース・バイ・ケースである。
私に当てはまるのが②の不当な理由による婚約破棄である、理由は『婚約者以外に好きな人ができた』である。(←アルフォート様がヒロインを懇意(好き)になるである。)
私はどちらかというと普通よりの綺麗、ちょっと可愛いかも的なモブで要するに秀でる物がない伯爵令嬢ではあるが実は家には『お金がある』あり建設事業や外国と輸入業も行っており、隣接していたデイラルト公爵領が大雨による土砂崩れに橋の崩落一部の領民に大きな被害が出てしまった。それを知った我が父インデェール伯爵が手を貸し建設資材と人員を確保し、崩壊した橋の設置や土砂崩れの瓦礫の撤去や外壁防止に奮闘した。その結果公爵家から婚約の打診が来たのである。
もう一度言うが、此方からの打診ではない。インデェール側は隣接領民が困っているから手を貸しただけで見返りは一切しなかったが公爵家から婚約の話が来たまでであった。
私の父は何度断っても是非にと言われたので「では、娘がこの話に乗り気になれば」と答えた結果の本日のお見合いの席であった。
馬鹿なのお父様?私を国外追放させたいのかしら?
「あぁーーーー私って悪役令嬢じゃないの」
「悪役令嬢?」
そんな言葉を知らないアルフォート様は可愛らしく小首を曲げていた。
キャバオーバーの私は倒れてしまった。
ゲームのアルフォート様とはほど遠いお優しいがーーーー
この世界は乙女ゲーム「ファルリニアの乙女」だろうと思う。