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東京マフィア
東京マフィア
CHIHARU
ミステリーサスペンス
2025年02月23日
公開日
6.9万字
完結済
『迷走狂騒曲』姉妹編。主人公二人の別バージョンです。
美しい人形が 周囲の男たちの運命を狂わせていく。
極道社会に飛び込んだ美青年一博がイロイロひどい目に遭います。。。

実父である組長に引き取られた一博は、イケメン若頭補佐の日向潤に惹かれるが……。
紆余曲折を経て結ばれる二人だったが、潤にはある秘密があった。


詳細なあらすじはコチラ↓


高校生になった伊川一博は、釈光寺組組長である、実父釈光寺琢己の屋敷を訪ねる。

琢己の屋敷で暮らし始めた一博は、ある晩、龍と麒麟がむつみ合う姿を目撃し、自分がゲイだと自覚する。

若頭補佐の日向潤が、麒麟の男だと知った一博は、軽い気持ちで誘うが、拒絶される。

潤は「わたしは、オヤジさんに若のことを任せられた以上、命を投げ出してでもお守りします。それだけはわかってやってください」との言葉を残して立ち去る。


大学を卒業した一博は、琢己不在時に、カチコミを決行して重傷を負う。

退院した一博は「一度だけ」という約束で、琢己と関係を持つ。

一博と張り合う長男祐樹が、関西の組織と手を結び、一博は罠に落ちるが、潤に救われる。

弟英二が、一博をかばって刺され意識不明になる。

琢己と再び関係を持ってしまった一博は、琢己を疎ましく思うようになる。

義父に呼び出された一博は、伊川正雄が中国マフィアのボスミスター・Kで、潤はその配下だったと知る。

潤の手で琢己が暗殺され、一博は組長となる。

退院し、屋敷で暮らすようになった英二と関係を持った一博は、潤を遠ざける。

英二に一緒に逃げようと切り出され、嘘をついて追い出す。

潤に呼び出された一博は、暴力で屈服させられ、レイプされる。
熱情を打ち明けられた一博は、逆に冷めていく。

ミスター・Kの怒りを買った一博は、激しいリンチを受け、監禁される。

英二が救いに来るが、英二は、別の場所に軟禁されている潤の策略で動いていた。

ミスター・Kから、麒麟の入れ墨が彫られた背中の皮が送りつけられる。

死を覚悟して指定された倉庫に出向くと、ミスター・Kのほかに潤がいた。
潤は、一博をとがめぬよう懇願し、入れ墨を差し出したという。
潤の愛に一博は心を打たれる。

英二が結婚し、一博も祝福する。

大団円と思われたが……実は……→エピローグへ続きます。


潤はミスターKの実子で……




第1話    プロローグ

「では霊代と二代目は席をお変わりください。席が替われば当代です」


 媒酌人井出平強兵の高らかに響き渡る声で、代目襲名式はクライマックスを迎えた。


 故釈光寺琢己の代理である霊代役の釈光会岸本組組長林敏文と、伊川一博は、粛然と席を入れ替わった。


一博の背後に、巻き上げられていた『書き上げ』がハラリと落ち、『二代目伊川一博』と記された墨書が現れる。


 咳払いさえはばかられるような、粛然としていた雰囲気が一転し、居並ぶ列席者の拍手が場内をゆるがした。



 二〇〇一年三月十六日。この日、異例の出世を遂げた二十七歳の伊川一博は、この瞬間に釈光寺組組長となり、同時に、傘下の組を束ねる釈光会会長の座におさまった。

 まわりの親分衆もこの若き会長に期待し、祝福を惜しまなかった。


それは、待ちに待った晴れやかな門出のはずである。


だが、一博の心のうちは複雑だった。


 会場の末席で若頭補佐の日向潤が、こちらに向かって優しく微笑んでいる。


一博は、力の無い笑みをかえした。





       雌伏から飛翔へ




 伊川一博がはじめて、実父である釈光寺琢己の屋敷を訪ねたのは、高校入学直後、十六歳の春だった。


 関東一円を束ねる一大組織釈光会を一代で築いた、鬼釈こと釈光寺琢己会長の邸宅は、屋敷町で知られるこの界隈でも群を抜いていた。

 純和風の門構えは豪壮で、高い塀からは、松の古木がみごとな大枝を突き出し、老舗旅館かと見紛う造りである。


 一博はその外観を見ただけで圧倒された。


 だが、『近い将来、オレがこの家の主になってみせる。そして、裏社会の頂点に立ってやる』という野望は、『それまでオレは負けない』という決意とともに強固なものと化していった。



 黒目勝ちで涼やかな目元だが、眼光は異様に鋭い。


 衣服に隠された体は鍛え上げられ、拳は硬く、不断の鍛錬のあとが伺われる。


 そんな一博は、トータルとして異様なオーラを放つ特異な少年だった。



 松の大枝のうねりを見ているうち、突然、一博の体を震えが走った。


これが俗に言う、『武者震い』ってやつだな。


 一博は額にかかる黒髪を長い指で払って、一歩一歩石畳を踏みしめ、立ち番の若い衆がにらみをきかせている門へと向かった。





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