白崎先生が後退するその隙を、俺は迷うことなく追い詰めた。
一歩、また一歩と間合いを詰め、攻撃のチャンスを探る。
だが、白崎先生もただ下がっているわけではない。
彼の目が鋭く、俺をしっかりと捉えている。
「お前、確かに強くなった。しかし、まだ足りない。」
その言葉に、俺は思わず足を止めた。
まだ足りない? その意味が分からないわけではない。
白崎先生の闘志が、俺のそれを試すように伝わってくる。
次の瞬間、白崎先生は素早く前に出て、鋭い回し蹴りを繰り出した。
バシュッ!
その蹴りが俺の肩をかすめ、風を切る音だけが耳に残る。
「くっ…!」
その勢いに、俺は少し後ろに揺れるが、すぐにバランスを立て直す。
だが、どうしてもその動きが遅れ気味だ。白崎先生の攻撃の精度、速さがすべてを圧倒してくる。
「今のが効いたか?」
白崎先生は軽く笑いながら、次の攻撃を仕掛けてくる。
今度は両足を使って、激しい連打が続く。
俺はその攻撃を受け止めることができない。
とっさに、反応しようとしたが、白崎先生の拳が次々と俺の体に襲いかかってくる。
ガシャン!
それでも、白崎先生の攻撃の一つを片手で受け止め、ようやく反撃のチャンスをつかんだ。
だが、まだ俺の力は足りない——
「はっ!」
今度こそ、俺の動きが白崎先生の隙間にぴったり合う。
ひとたびその隙を突けば、少しの力でもその体勢を崩せる。
俺は全力で左膝を放ち、先生の腹部に叩き込む。
ドゴン!
白崎先生の顔が歪み、一瞬だけ動きが止まる。
だがすぐに、彼は冷静さを取り戻す。
「ふっ…お前、少しは本物になったな。」
その言葉とともに、白崎先生は笑みを浮かべる。
「だが、まだまだだぞ。」
そう言うと、先生は素早く俺の背後に回り込んできた。
その動きはまるで風のように速く、僕は一瞬何もできなかった。
ガシッ!
その瞬間、先生の手が俺の肩をつかみ、強引に体をねじ込む。
「うぉ!」
その強引な動きに、俺は一歩も動けなくなった。だが、それでも気力だけはまだ失っていなかった。
「まだ、だ!」
俺は全身に力を込め、白崎先生の手を振りほどこうとする。
しかし、その動きが思いのほか重く、耐えるのが精一杯だった。
「お前、そう簡単には崩れないな。」
白崎先生が何度も俺を試すように動きを変える。だが、その度に俺の体はついていく。
「……来い!」
俺は最後の力を振り絞り、白崎先生の力強い手を打ち払う。
瞬間的に、俺の周りが静まり返るような気がした。
その静寂を破ったのは、次の瞬間、白崎先生の一言だった。
「これが、お前の限界か?」
その言葉を聞いた瞬間、俺の中に何かが爆発した。