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第32話 新たな力

白崎先生の冷徹な眼差しが俺を捉えている。

だが、今の俺にはその視線が、何も恐ろしいものに感じられなかった。

むしろ、戦いの中で感じたこの“変化”に、少しの期待すら抱いている自分がいる。


「覚悟はできてるか?」


白崎先生がそう言うと同時に、再び拳が俺に向かって飛んできた。


しかし、今度はその動きに、以前感じたような速さの恐怖を感じない。


俺はその攻撃を、呼吸を合わせて、わずかな遅れで右手で払うように受け止める。


「なんだと…」


白崎先生が一瞬だけ驚いた顔を見せる。

だが、それもすぐにいつもの冷静な表情に戻る。


「なるほど、お前の反応速度が一気に上がったか。だが、それだけではまだ足りない」


そう言いながら、先生は再び力強い右ストレートを放った。その拳を避けることができるだろうか?

 いや、今回は避けるだけではだめだ。

俺は全身に力を込め、拳を突き出す。

ゴン!

お互いの拳がぶつかる。衝撃が腕を駆け巡り、体全体が震えた。

だが、今回はその震えを俺は止めなかった。

むしろ、その震えを力に変えるように意識した。

白崎先生が一歩後退し、その目が鋭く光った。


「よし…これでお前の本気を感じた。だが、ここからだぞ」


そう言って、白崎先生は再び攻撃を仕掛けてくる。

だが、その攻撃に、俺は以前のような恐怖を感じなかった。

むしろ、冷静に動ける自分がいる。


「来い!」


俺は両足をしっかりと踏みしめ、白崎先生の攻撃を待つ。やがて、拳が俺の顔を狙って迫ったその瞬間—— 

ズン!

その拳を俺は掴んだ。

腕を曲げ、力強く握りしめたその瞬間、白崎先生が少しだけ驚いたように目を見開く。


「お前、まさか……」


その驚きの声が、俺の体に力を与える。

今、俺はただ反応するだけではない。攻撃を避けるだけではない。


「……うぉりゃっ!」


その一言と共に、俺は白崎先生の腕を引き寄せ、その隙間に素早く膝を打ち込んだ。

ドスッ!

その膝が白崎先生の腹部に入る。

一瞬、白崎先生の体が硬直したように感じられた。だが、すぐに反応し、俺の膝を払いのけようとする。

その瞬間、俺はすぐに自分の体を引き戻す。

そして、次の一手を考える。


「まだだ!」


白崎先生が反撃しようとしたとき、俺は素早く前に出て、今度は彼の足を狙う。


「き、きたか…!」


その攻撃を読んだかのように、白崎先生はすぐに後ろに飛び退く。

しかし、その動きには以前ほどの余裕は感じられなかった。

俺はその隙を逃さず、すぐに追い込んだ。

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