白崎先生の拳が迫る。
俺はその動きを見極め、必死に反応した。
「来るっ!」
俺は全身を使って避けるべく、右へと飛び退いた。しかし、先生の拳はそれを予測していたかのように、俺の体にぴったりと追いすがる。
ガシッ!
その瞬間、俺は腕を掴まれ、無理やりリングの中央に引き戻された。
「どうした? 逃げるつもりか?」
白崎先生の声が冷たい。
それでも俺は負けるわけにはいかない。
「逃げません! 俺は——!」
その言葉と共に、全力で膝を突き出す。
だが、白崎先生はそれすらも読んでいたかのように、軽々とその攻撃をかわし、俺の背中に手を当てた。
「——ッ!」
俺の体が一瞬で宙に浮き、勢いよく床に叩きつけられる。
ドン!
「うっ……」
痛みが全身を駆け巡る。
だが、それでも俺は立ち上がろうと必死に体を起こす。
「まだ終わってない!」
立ち上がり、足元をしっかりと踏みしめた。
どんなに痛くても、この試練から逃げることはできない。
「いい根性だ」
白崎先生は少しだけ歩み寄り、俺の肩に手を置いた。
その手は優しさを感じさせるものではなく、まるで「覚悟」を試すかのように重かった。
「だが、そう簡単にはいかない。お前の限界を、知るべきだ」
その言葉と共に、白崎先生は再び拳を振り上げた。
「来い!」
俺はその瞬間、意識を一点に集中させた。
無駄な思考を排除し、白崎先生の動きに全神経を注ぐ。
——くる。
拳が俺の顔を狙って迫る。
その速度は尋常ではないが、俺はその一瞬を見逃さない。
「今だ!」
俺は身を低くして、白崎先生の足元を狙って滑り込んだ。
その瞬間、先生の足元がわずかに崩れる。
「来た!」
俺はその隙をついて、一気に体重を乗せた膝蹴りを放つ。
だが、白崎先生は軽く体をひねり、その攻撃をかわした。
「お前はまだ甘いな」
白崎先生の言葉が耳に届いた瞬間、俺の心臓が激しく鼓動を打つ。
まだ終わりではない——そう、自分に言い聞かせた。
「俺は、まだ終わらない!」
その叫び声が、何かを変えるように感じた。
少なくとも、俺の中に新たな力が湧き上がってきた。