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第15話 先生の正体

放課後、俺とひかりは再び白崎先生の動きを探るために校内を歩き回った。


「でもさ、先生が何者か分かったところで、どうするの?」


「……分からん。でも、俺の能力が"チョイ"じゃなくなってるって話を聞いたら、何か反応するかもしれない」


「なるほどね。でも先生、そんな簡単にボロ出すかな?」


「……分からんけど、やるしかない」


そうして職員室の前にたどり着くと、ちょうど白崎先生が出てくるところだった。


「……おや、君たち。何か用かい?」


「……先生に聞きたいことがあるんです」


「ふむ、いいだろう。場所を変えようか」


そう言って、先生は俺たちを資料室へと案内した。


「で?聞きたいこととは?」


白崎先生は腕を組んで俺を見つめた。


俺は一瞬ためらったが、意を決して言った。


「……俺の能力が進化してるみたいなんです」


「……ほう?」


「今まで目が合った瞬間に"勝手に"心を読んでしまっていたのが、今は"選んで"読むことができるようになりました」


先生の表情が少し変わった。


「……それは興味深い話だね」


「先生は……この"チョイ能力"が進化することを知っていたんですか?」


先生はしばらく黙った後、静かに言った。


「……ああ、知っていたとも」


「……やっぱり」


俺の直感は当たっていた。


「どうして黙っていたんですか?」


「君たちに余計な心配をさせたくなかった。それに、"進化"するチョイ能力者はごくわずかだ。まさか、君がその一人だとは思わなかったよ」


「じゃあ先生は、俺たちを監視してたんですか?」


先生は少し考えた後、小さく笑った。


「……監視、というよりは"観察"だな」


「……違いがあるんですか?」


「もちろん。私は君たちをどうこうしようとは思っていない。ただ、"見届ける"だけだ」


「……何を?」


「チョイ能力者が"真の能力者"へと進化する瞬間を、だよ」


俺とひかりは顔を見合わせた。


「……つまり、俺は"チョイ能力者"じゃなくなるってことですか?」


「……その可能性は高いね」


先生の言葉を聞いた瞬間、俺はゾクッとした。


自分が何者か分からなくなるような……そんな感覚。


「……でも、それってつまり"普通の超能力者"になるってことですよね?」


「いや、違う」


先生は静かに首を振った。


「進化したチョイ能力者は、普通の超能力者よりも"特別"なんだよ」


俺の背中に、冷たい汗が流れた。


(……特別?)


俺は一体、何になろうとしているんだ?


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