目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

番外編⑦ 風間の日常

風間の一日は、基本的に静かで落ち着いたものだった。学校では無口で目立たないタイプだが、その美しい容姿から周囲の注目を集めることは多い。彼自身、そういった関心には無頓着で、むしろ人と関わるのを避けるかのように、淡々と一日を過ごす。


だが、彼には一つの大きな秘密があった。昼間はイケメンで無口な少年として振る舞っているが、放課後になればその姿は一変する。自宅の部屋に戻ると、彼はすぐにお気に入りの「ブリギュア」のフィギュアを並べ、最新話のアニメを観賞するのだ。彼が熱中するのは、どうしても女児アニメのキャラクターたちの可愛さや、力強さに魅了されてしまうからだ。


部屋の中に漂うフィギュアの香りとアニメの音楽。風間はその中で、ひとり静かな時間を楽しむ。特に好きなのは、主人公たちが協力して困難を乗り越えるシーンで、彼の冷静で理論的な思考とは裏腹に、感情が揺さぶられる瞬間だ。


その日も、アニメが終わると、風間は満足げな表情を浮かべながらフィギュアに手を触れ、つぶやく。


「やっぱり、この子たちが一番だな。」


その言葉には、自分だけの特別な世界に浸る喜びが込められていた。


外の世界では誰もが彼をイケメンで無口な少年だと思っているが、風間にとっての“本当の自分”は、この小さな世界の中でこそ輝いていた。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?