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チョイ能力で行こう~陰キャの俺、微妙なスキルでなぜか事件に巻き込まれまくる件~
チョイ能力で行こう~陰キャの俺、微妙なスキルでなぜか事件に巻き込まれまくる件~
マカロー
現実世界青春学園
2025年02月22日
公開日
5.5万字
連載中
俺の名前は佐倉迅。ただの高校生……ってわけでもない。俺には"チョイ能力"がある。具体的に言うと、目が合った相手の心が読める。でも、それは一瞬だけ。だから、大したことはできないし、むしろ厄介なだけだ。

この能力のせいで、俺は人間不信になった。クラスメイトが俺に向ける表の顔と裏の本音のギャップを知りすぎたせいで、誰とも深く関わりたくなくなった。だから基本、ボッチで根暗な日々を送ってる。

そんな俺の前に、やたらと明るくて距離感のバグったクラスメイト、橘ひかりが現れた。こいつは俺の態度が冷たくても全然気にしないどころか、グイグイ話しかけてくる。そして、何を考えてるのか分からないくらい、いつも飄々としてる。普通ならうっとうしいだけのはずなのに、こいつの前では妙に気が楽になることがある。

……まあ、それだけならまだよかった。

なぜか、適応者特別監視班とかいう組織に目をつけられたり、女児向けアニメ「ブリギュア」オタク、ロリコン教師、元悪役令嬢などクセの強い能力者が次々と絡んできたりして、俺の平穏な日常は完全に終わった。おまけに、クラスには「暗黒大魔王」を自称する厨二病の転校生までやってきた。

俺はただ静かに暮らしたいだけなのに、どうしてこうなるんだ……。

だけど、いろんな事件に巻き込まれていくうちに、俺は少しずつ気づき始める。
この能力が"チョイ"だろうと、それでも俺にできることがあるかもしれないって。

"目が合った瞬間だけ"なんて中途半端な力だけど、それをどう使うかは俺次第だ。

……はぁ、面倒ごとには関わりたくないんだけどな。

プロローグ 「チョイ能力」なんていらなかった

俺の名前は佐倉迅。高校二年生。


特技なし、友達なし、目立たない陰キャ。

……だったら、どれだけ幸せだったか。


俺には、"ちょっとだけ" 特別な力がある。


「目が合った瞬間だけ、相手の心が読める」


一見すると便利そうだが、実際はものすごく微妙な能力だ。


長時間読めるわけじゃない。相手の記憶や深層心理まで見えるわけでもない。

せいぜい、「うわ、こいつキモ」とか、「は? 話しかけんなよ」とか、そんな本音が一瞬だけ頭に流れ込むだけ。


おかげで俺はすっかり人間不信になった。


小学生の頃、友達だと思ってた奴の「こいつ空気読めねぇな」という心の声を聞いてしまった。

中学生の頃、会話していたクラスメイトの「適当に相槌打っときゃいいか」に気づいてしまった。


そんなもの、知らなくていいことばかりだった。


だから俺は「他人と目を合わせない」ことを徹底した。

授業中はノートに視線を落とし、休み時間はイヤホンをして寝たふり。

余計なものを読まずに済むし、無駄な人間関係にも巻き込まれない。


そう、思っていた——。


しかし。


「ねえ佐倉くん! ちょっと目を合わせてくれない?」

「お前の能力、めちゃくちゃ面白そうだな」

「……適応者特別監視班として、君を観察させてもらう」


——何か、厄介な連中に目をつけられた。


俺の静かなボッチライフが、いとも簡単に崩壊していく。


事件、騒動、厄介ごと——

「ちょっとだけ」しか使えない能力のせいで、俺は否応なしに巻き込まれていく。


俺は別に、主人公になりたかったわけじゃない。

なろう系みたいに「異世界転生しました!」とか「チート能力で俺TUEEEE!」とか、そういう話じゃない。


これは、

俺が「目を合わせたくない奴ら」に追いかけ回される物語だ。


——そして、おそらく。

俺のボッチライフは二度と戻ってこない。


ようこそ、「チョイ能力で行こう」へ。

俺の「ちょっとだけ不幸な日常」を、笑いながら見届けてくれ。


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