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第14話 鎌ヶ谷玲奈は知っている

「凛ちゃん、機嫌直った?」


「ええ、大丈夫よ玲奈。ありがとう」


「にしても、すごかったね、まるでカップルの距離感だった」


「そうね」


 体育館で他のチームがバスケをしている中、流山たちは恋バナをしていた。

 演劇部の流山と鎌ヶ谷、陸上部の白井はあまりバスケが得意ではなかった。


「ひょっとして柏先輩ってモテるの?」


「どうかしら」


「凛にさっきの人、それに同じ演劇部の船橋さん? も柏先輩のことが好きなんでしょ?」


「ええ、そうね」


「確かに顔はちょっと良かったけど、そんなにモテるんだー」


 柏のことをあまり知らない白井からしたら謎だった。

 鎌ヶ谷が補足するように言う。


「面白い先輩。気づくと輪の中心にいる」


「へぇー、そういう感じなんだ」


「それもあるけど――」


 流山が何かを言おうとして、口を紡ぐ。

 二人は流山のその様子を感じ取り、気にせずに話を続ける。


「ライバルが多いことだし、何か作戦を考えないとね!」


「確かに」


「作戦?」


「そ! 凛はさ。柏先輩とこれしたいとかないの?」


「そんなの、急に言われても」


「ある」


「え?」


 急に浮かべて困惑する流山の横で、鎌ヶ谷が答える。

 何を知っているの? という視線を流山が送ると鎌ヶ谷は言った。


「凛ちゃんは、柏先輩が他の人を可愛いと言っている時が一番睨んでいる」


「おおー!」


「ちょ、ちょっと玲奈?」


「ズバリ! 凛ちゃんは柏先輩に可愛いと言われたい!」


 珍しく鎌ヶ谷がテンション高く言った。


「な、何を根拠に言っているの」


「いつも横で見ていたから間違いない」


「なるほどねー、凛は意外と乙女だなぁー」


「な、なんで確定事項みたいになっているの!」


 流山が必死に否定するが、二人の中では既にそういうことになっていた。

 そして、白井が聞き返す。


「じゃあ、言われたくないの?」


「え、いや、その、言われたいか言われたくないかだったらそりゃ――」


「そういうこと」


「決まりだね! じゃあ可愛いと言われるように作戦を考えないと!」


「ちょ、ちょっと二人とも!?」

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