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第10話 入試②


アルティメア魔法学園の毎年の新入生は、約500名とされている。

1年生の課程を修了し、1年修了試験を終えると、生徒の志望と院の審査を経て5つの分院に振り分けられる。

帝国三大魔法学園の一つとして、アルティメア魔法学園の入試は非常に厳格である。もっとも、合格率は100%だが、入試の成績が悪い者は下位クラスに振り分けられることになる。

歴代の新入生で下位クラスに入れられた者が、修了試験で学園に残れる確率はたった5%に過ぎない。そのため、下位クラスに入ることは、事実上学院からの退学を意味するというのが知られた事実だ。

また、下位クラスの待遇は学園内で最悪だ。この「最悪」は、学習リソース、環境、宿泊、教師、学園ポイントなど、あらゆる面に及ぶ。

武道クラスという、魔法学園では異質な存在に入学するルーカスもまた、他の新入生と同じく入学試験を受ける必要があり、その内容も他の生徒と全く同じであった。

第一試験は魔力測定。

空中に浮かぶ透明な球体の前に立ち、手のひらを球体に押し当てるだけでよい。そうすれば、潜在魔力に応じた光を放つ仕組みだ。

そしてルーカスの番が訪れる。

彼が球体に触れると、予想通り魔力潜在能力は皆無だった。正確に言えば、魔法とは無縁である。


魔力ゼロを示す白色の光が球体から放たれると、待機列に並ぶ新入生たちからは嘲笑が巻き起こった。

ルーカスは肩をすくめて、魔測台を降りた。

この類の嘲笑は、異世界に転生して以来6年間、何度も経験してきたものだ。

しかし、彼は気に留めなかった。武神の九精霊の加護を受けた自分がどれほど強いかは、自分が一番よく分かっている。


強さを誰かに証明する必要はない。

平穏な異世界生活を望む者にとって、目立たないことは大切だ。


続いて、ジュリアの番が来ると、球体は鮮やかな紫色の光を放った。魔力潜在能力が7(最大10)以上になると現れる色だ。

この潜在能力なら、今年の新入生で上位20名以内は堅いだろう。

誰もが羨望の視線を向けている時、ルーカスは微笑みながらジュリアに声をかけた。

「ジュリア、本気を出していいよ」

実は、ルーカスは3年前から「気海功」という大陸で用いられる補助系の武技によって、ジュリアの潜在魔力を引き上げていた。


この補助武技を使える者は多いが、修行の壁のために、これもまた質的変化を起こすレベル3に到達させる者がほとんどいないのだ。

ましてや、他者に大幅な強化を施せるさらなる質的変化があるレベル6に至る者など、存在すらしないのだ。

言い伝えによると、「気海功」をレベル3まで修めれば、自身の魔法耐性を少し向上させることができると言われている。そして、極限のレベル6に到達すれば、自身の魔法耐性を高めるだけでなく、長期的な灌頂を通じて他者の魔力潜在能力を大幅に向上させることが可能となる。

かつてとある高貴な身分の魔導士はレベル6に達した武道の天才を求め、気の活性化を依頼するため莫大な報酬を提示したことがあった。その額は貴族ですら羨むほどのものだったという。

しかし、依頼を受けた者はいなかった。

なぜなら、レベル6に至るのは至難の業で、たとえ才能が抜群でも、100年の修練が必要とされるほどなのだ。

だが、武神の加護を受け、あらゆる限界を打ち破ったルーカスは、その理の外にいる存在だ。


ルーカスにとって、妹が強ければ強いほど、自分の望む平穏な生活に近づくことができる。そのため、ルーカスはこれまでさまざまな補助武技を駆使して、ジュリアを鍛えてきた。

この秘密は兄妹だけのもので、両親さえも知らない。

ルーカスの声を聞いたジュリアは、大きな目を輝かせながら、「うん」と頷いた。

瞬く間に、球体が放つ光は紫色から金色に変わった。

この光景に、新入生たちは衝撃を受け、羨望と驚嘆の声が響き渡った。

「すごい!金色の光が現れたぞ!」


「潜在魔力凄すぎ!確か金色は数値9から10の区間だったはず。ほぼ満点じゃないか!」


「天才クラスの推薦枠の生徒でも、こんな金色は滅多に出ないわ」


「さっきの白く輝いた奴と兄妹らしいけど、信じられないな。魔力ゼロの兄に、魔力潜在能力がほぼ満点の妹なんて」


「俺もこんな強くて可愛い妹が欲しい!」

魔測台の片隅で記録を取っていた教師も、驚きを隠せない表情だった。

金色が現れたのは、いつ以来だろうか?

確か2年前のことだったはず。

だが、このジュリアという子はもっと若く、まだ8歳に過ぎない。

なんと羨ましい魔法の才能だろう。

測定を終え、ルーカスのもとに戻ったジュリアは得意げに頭を揺らし、兄の腕に甘えるように絡んだ。


「ねぇねぇ、お兄ちゃん。ジュリアってすっごいの?」


「もちろんだとも。うちのジュリアは将来大魔導士になるんだ!」


ルーカスは優しい笑みを浮かべ、妹の頭を撫でながら、嬉しげに返事をした。


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