「戦士長の娘は…」
「レディー様は…」
2人の男が、父の前で大きく息を吸う…
「「剣の才能がない!!」」
「……なにも同時に言わんでもいいじゃないか」
お父さんは頭を押さえて、ハーと大きく息を吐き出す。
そして、後ろに座って縮こまっている私を困ったように見やった。
「剛剣流には向かん。骨格を見ても大柄にはなるタイプでもない。そういうモンは子供のうちからでも分かるもんだ」
父と同じぐらいマッチョのハゲ頭…第1団の隊長モンドが言う。
「だからと言って流剣も向きませんね。武器に魔力を流せるかどうかはセンス。力がなければ技に…そう言いたいところですが、その才能は残念ながら凡人以下です」
細身の長身で、いかにもナルシーみたいな長髪…第2団の隊長フィーリーが言う。
モンドとフィーリー…この2人が私の武術教育係だった。
私だって頑張ったのよ。必死で一生懸命にね。
でも、転生しても、赤ちゃんからやり直しても、ダメなヤツはダメなヤツってことだ…
前世だって、剣道とか武道やったことなかったし…いや、やっててもダメだったと思う。
デヴが運動音痴はテンプレじゃないの。
身体が細くなっても、センスが良くなるわけじゃない。
「なあ、こういうのは本人がいないところで……」
「いえ、今のうちに現実を受け入れた方がいいでしょう。グランバ様。レディー様は戦士長のご息女。過度な期待を…」
「だから、やめろって」
「私は平気…。ホントのことだもん」
「レディー…」
ヤバい。泣きそう…。
だけれど、モンドもフィーリーも悪気があって言っているわけじゃない。
グランバがとてつもない親馬鹿だったのだ。
だから、こうやって私のいる前で話さないと理解してもらえないから…私がこうやって言うように頼んだんだ。
でも、やっぱ目の前で言われると堪える…
「今からなら遅くはない。戦士長。この子は魔法使いか、神官…または文官を目指させるべきだ」
「魔法は…私的にはオススメしませんけどね。魔力を流す才能がないということは、つまりそういうことです」
「……俺の娘が…」
グランバの落胆した顔を直視できない。
「…軍を率いるには力が足りないと言っているだけだ。まあ、護身術程度なら曲がりにも形に…」
モンドのはフォローになっていないから、フィーリーが首を横に振って止める。
「……俺は…諦めん。諦めんぞ」