目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

005 転生してもダメなヤツはダメ

「戦士長の娘は…」


「レディー様は…」


 2人の男が、父の前で大きく息を吸う…


「「剣の才能がない!!」」


「……なにも同時に言わんでもいいじゃないか」


 お父さんは頭を押さえて、ハーと大きく息を吐き出す。


 そして、後ろに座って縮こまっている私を困ったように見やった。


「剛剣流には向かん。骨格を見ても大柄にはなるタイプでもない。そういうモンは子供のうちからでも分かるもんだ」


 父と同じぐらいマッチョのハゲ頭…第1団の隊長モンドが言う。


「だからと言って流剣も向きませんね。武器に魔力を流せるかどうかはセンス。力がなければ技に…そう言いたいところですが、その才能は残念ながら凡人以下です」


 細身の長身で、いかにもナルシーみたいな長髪…第2団の隊長フィーリーが言う。


 モンドとフィーリー…この2人が私の武術教育係だった。


 私だって頑張ったのよ。必死で一生懸命にね。


 でも、転生しても、赤ちゃんからやり直しても、ダメなヤツはダメなヤツってことだ…


 前世だって、剣道とか武道やったことなかったし…いや、やっててもダメだったと思う。


 デヴが運動音痴はテンプレじゃないの。


 身体が細くなっても、センスが良くなるわけじゃない。


「なあ、こういうのは本人がいないところで……」


「いえ、今のうちに現実を受け入れた方がいいでしょう。グランバ様。レディー様は戦士長のご息女。過度な期待を…」


「だから、やめろって」


「私は平気…。ホントのことだもん」


「レディー…」


 ヤバい。泣きそう…。


 だけれど、モンドもフィーリーも悪気があって言っているわけじゃない。


 グランバがとてつもない親馬鹿だったのだ。


 だから、こうやって私のいる前で話さないと理解してもらえないから…私がこうやって言うように頼んだんだ。


 でも、やっぱ目の前で言われると堪える…


「今からなら遅くはない。戦士長。この子は魔法使いか、神官…または文官を目指させるべきだ」


「魔法は…私的にはオススメしませんけどね。魔力を流す才能がないということは、つまりそういうことです」


「……俺の娘が…」


 グランバの落胆した顔を直視できない。


「…軍を率いるには力が足りないと言っているだけだ。まあ、護身術程度なら曲がりにも形に…」


 モンドのはフォローになっていないから、フィーリーが首を横に振って止める。


「……俺は…諦めん。諦めんぞ」

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?