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003 レディー・ラマハイム

 ようやく眼が開く…


 まぶしい…


「おお、こっちを見たぞ」


「あなた。まだ見えてはいないわよ」


「いや、そんなことはない俺を見たぞ」


 誰かしら?


 このスゴイ髭のオジサン…。


 ムキムキの色黒だわ。


 もっとも苦手なタイプ。


 それに、あんまり見られたくない。


 視線合わせるのイヤなんだけれど、首が上手く動かない。


「…なんか泣きそうな顔をしてるぞ」


「大きな声を出されるからですよ。よしよし」


 隣の女性…キレイな人。


 背が高くて、細くて、まるでモデルさんみたい。


 私なんかよりずっと…


 あ。手が伸びて…


 え? 私は重いのに…簡単に抱えられて??


「私の可愛い


「ああ。ナターシャ。お前そっくりだ。すべらかで賢そうな頭の形も、健康そうな褐色の肌も…」


「グランバ。目元や口元はキリリとして、貴方そっくりよ。勇敢な戦士のもの…」


 あー。そうか、そうだった。


 私は転生したんだ。


 赤ちゃんなんだ。


 そして、父がグランバ、母がナターシャというらしい。


 娘の前だというのにイチャラブしないで……非モテだった私には辛いわ。


「ハハハ! 将来は俺の後を継いで戦士長に決まりだな!」


「まったくもう。気が早すぎるわよ」


「いやいや、そんなことはない! 試しに剣を握らせてみよう!」


「…あなた」


「まあまあ、ふたりとも。赤子の前じゃぞ」


 真っ白な服…お医者さん?


 ずいぶんとおじいちゃんだけれど…そういえば、前の私を取り上げた先生もヨボヨボのおじいちゃんだったって父さん言ってたっけ。


 そんなおじいちゃんが近づいてきて、口角をグイッと上げて私に向かって笑う。


 なんか蛇みたい……丸呑みにされそう。怖い。


 ムキムキもキライだけど、こっちもあんまり好きじゃない顔だわ。


「でも、気が早いのは確かだのぅ。まだ名前も決まってはおらなんだろう?」


「名前は…」


「もうね」


 お父さんとお母さんが顔を見合わせて笑う。


「む? もう決めておるのか? それなら早く教えてくれてもいいじゃろうに…で、なんと名付けたのかね?」


 お父さんとお母さんは付き合いたてのカップルみたいに、「せーの」と呼吸を合わせる。


「「レディー・ラマハイム」」

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