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第9話

 イヅナはゴーレムの調整をしながら、話を続けた。「ゴーレムって、基本的に二種類に分けられるんだ。ひとつは自立型、もうひとつがゴーレムスーツだ。」


 「自立型?」俺が興味を持って尋ねると、イヅナは頷きながらゴーレムに向かって手を振った。「うん。自立型ゴーレムは、簡単に言うと、自己判断で行動するタイプだ。人工知能が搭載されていて、あらかじめ与えられた指示に従って動くんだ。こいつもその一つで、基本的には防衛や護衛が目的なんだが、プログラムの設定次第では、攻撃もこなす。」


 ゴーレムは静かに立ち尽くしているが、その金属の身体には確かにただ者ではない雰囲気が漂っている。まるで、今にも指示があれば動き出しそうだ。


 「なるほど、自立型か…じゃあ、ゴーレムスーツってのは?」ナツメが疑問を口にする。


 イヅナは少し楽しげに話を続けた。「ゴーレムスーツは、言ってみれば『操縦式ゴーレム』だ。人間や獣人がその中に乗り込んで、ゴーレムを動かすんだよ。自立型のように完全に独立して動くわけじゃなくて、操縦者の意志で動かせるから、もっと柔軟に戦術を組み立てることができる。」


 俺はその説明をうなずきながら聞いていた。「ゴーレムスーツの方が、使うには技術が必要ってことか?」


 「そうだな。ゴーレムスーツは、操縦者の技術に大きく依存する。体力や感覚が試される部分もあるし、しっかり使いこなすには訓練が必要だ。」イヅナはゴーレムスーツが並ぶ棚を指差して言った。「だが、もし君たちがゴーレムスーツを手に入れることができれば、かなり有利に戦えるだろう。」


 「そうか…。でも、どうやってそれを手に入れるんだ?」ナツメが興味津々で尋ねる。


 イヅナは一瞬黙って考え、そして目を細めた。「それについては、まだ少し秘密があるんだが…実は、ここのダンジョン内には、いくつかのゴーレムスーツが隠されていると言われている。遺物として残されたものだから、簡単には見つからないけど、もし君たちが探していれば、きっと見つかるだろう。」


 「それは…かなりの収穫だな。」俺はその言葉に心が躍るのを感じた。ゴーレムスーツが手に入れば、今まで以上に強力な武器を手に入れたも同然だ。


 「でも、危険もあるってことだよな?」ナツメが冷静に続けた。


 イヅナは少しだけ真剣な表情になり、頷いた。「その通り。ゴーレムスーツは強力だけど、それに見合うリスクもある。隠されている場所には、過去に誰かが挑戦して失敗した痕跡が残っているかもしれない。だから、気をつけて進む必要がある。」


 「了解だ。」俺は決意を新たにして答えた。「ゴーレムスーツを見つけるためにも、このダンジョンをしっかりと調べよう。」


 イヅナはにっこりと笑って、「その意気だ。俺も一緒に手伝うから、何かあったら言ってくれ。」と言って、ゴーレムにもう一度触れ、調整を続けた。


 これからの冒険が、さらに危険で、そして面白くなりそうな予感がした。ゴーレムスーツの存在が、これまで以上にダンジョン探索を盛り上げるだろう。それに、イヅナのような協力者がいることも心強かった。


 「さて、行くか。」俺は短く言い、ナツメとともに、再び進む決意を固めた。


 イヅナが再びゴーレムに目を向けている間、俺とナツメは少し離れて、今後の計画を話し合った。


「ゴーレムスーツが手に入れば、今までの戦いとは全く違うだろうな。」ナツメは興奮気味に言った。


「うん、でもその分、危険もあるだろう。」俺は少し冷静になり、あたりを見回した。「イヅナの言う通り、過去に挑戦して失敗した痕跡が残ってるなら、それを避けるためには慎重に進まないと。」


「でも、そんなにチャンスがあるなら、挑戦しない手はないだろ?」ナツメはいつも通り、前向きな考えを見せる。


「そうだな。」俺は頷きながら、再度イヅナの方に視線を向けた。


 イヅナはゴーレムの調整を終えたようで、手を拭きながら振り返った。「じゃあ、そろそろ行こうか。隠されたゴーレムスーツの場所までは、少し足を伸ばす必要があるけど、それほど遠くないよ。」


 「了解。」俺はしっかりと答える。


 イヅナが案内するまま、俺たちは再びダンジョンの深部へと向かう。その途中、ダンジョン内の異様な静けさが、まるで何かが待ち構えているように感じさせた。


 突然、イヅナが足を止め、耳を澄ますようにして言った。「少し先に、気になる気配がある。」


 俺たちは無言でその言葉を受け、慎重に前進した。静まり返ったダンジョン内で、足音だけが響いている。足を踏み入れるたびに、わずかな音が反響する。


 やがて、視界が開け、広い空間に出た。目の前には大きな岩壁があり、その一部に何かが埋まっているようだった。イヅナがそれを指差す。「あれがゴーレムスーツの隠された場所の一部だと思う。さあ、調べてみよう。」


 俺とナツメは慎重にその場所に向かい、岩壁を調べ始めた。手探りで進んでいると、急にナツメが何かを見つけたらしい。「こっちだ、見てみろ!」


 彼女の声に反応し、俺たちは集まった。ナツメが指差す先には、岩壁に隠れたように置かれた金属の板が見えた。それはまるで、何かを封印するための扉のようなものに見えた。


「これか…?」俺は少し躊躇しながら、金属板を触れた。すると、わずかな振動とともに、板がゆっくりと動き始める。


 ガリガリと金属音が鳴り響き、岩壁がわずかに開かれる。中から、暗く錆びたゴーレムスーツのようなものが顔を出した。それは、まさにイヅナが話していたゴーレムスーツに違いなかった。


「これだ…。」イヅナが興奮気味に言った。「どうやら、ここに隠されていたのはこのゴーレムスーツの一つみたいだ。だけど、うまく動かせるかどうかは分からない。」


 俺はゴーレムスーツを見上げながら、少し考えた。「まあ、まずは試してみるしかないな。」


 ナツメはその様子を見守りながら、「気をつけろよ、思った以上に複雑かもしれない。」と言った。


 ゴーレムスーツに近づき、俺はその操作方法を試し始める。



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