「こんなカッコいい人が婚活パーティーに参加してると思っていなくて……。あの、これ私の番号なので、良かったらフリータイム一緒に話しませんか?」
初めて参加した婚活パーティ。
それは町興しも兼ねた大規模な企画だったのだが、好みのタイプの美少女から声をかけられて浮かれた俺、
え、俺って意外とモテるんじゃないか?
友達と一緒に参加したパーティーだったが、色んな女子からアプローチをされた。
正直、嬉しい。特に最後に声を掛けられた
しかも婚活パーティーってことは、結婚視野に考えてくれていると考えてもいいんだよね?
「ひゃっほーい! これって人生逆転ホームランじゃね?」
こうして参加者で一番の美女を射止めた俺は、無事に彼女とカップルとなった。
そしてお付き合いして一ヶ月……
誤算ってわけじゃないのだが、彼女が住んでいるのは婚活パーティが開催された県外れの田舎町。俺の住んでいるところから三時間ほど掛かるのだ。
しかも彼女は市議会議員の一人娘。
何度か同棲を勧めたのだが、断れてしまったのだ。
「寂しいけど、我慢してね? いおりん♡」
「………うん、俺、我慢する♡」
毎日のように電話をして、時間があればメッセが届いて。
彼女、最高! って浮かれていた。
そしてお付き合いして数週間が過ぎた時、やっと彼女とデートをすることができたのだ。
三時間かけて来た俺は、生寧々にテンションが最高潮になっていた。
「いおりーん♡ 寂しかったー、会いたかったよー!」
「寧々ちゃーん♡ 俺も俺も! 会えなさすぎて死んじゃうかと思ったー」
なんて可愛い! 可愛すぎる!
終始ニヤニヤが止まらなかった。あぁ、生きていて良かった!
それから俺達はファミレスで食事を済ませて、そのまま宿泊先のホテルへと移動して、甘い一時を過ごしていた。
豊満なオッパイ、引き締まったウエスト。
だが何よりも純情な見た目からは予想できないテクニックの数々。
すっかり骨抜きになった俺は、ますます寧々に惚れ込んだ。
「いおりんって、とっても上手なんだね♡ 私、今まで色んな人とエッチしてきたけど、ダントツでいおりんが大好きだよ♡」
——え、色んな人とエッチを
腕枕をしながら語らっていると、思いがけないことをカミングされた。
「あれ、言ってなかったかな? 私、大学東京に行ってて、色々遊んじゃったんだ♡」
いやいやいや!
「遊んじゃったんだ♡」じゃない!
俺もそれなりに経験はあるけれど、え? マジかよ……!
もしかして寧々ちゃんて清純系ビッチ⁉︎
思っていた理想とかけ離れていた過去に、若干ショックだったが、仕方ない。
昔は遊んでいたけれど、今は落ち着いて結婚に向けて頑張ってるってことだよね?
過去を責めても仕方ない。
今は俺の彼女なんだから許してやるしかないじゃないか。
「そういえば……私、エッチの時ってゴムするの嫌いなんだよね。生でしてもらってもいい?」
「え、でもゴムなしなんて、そんな」
「いいじゃん。だって私達、結婚するんでしょ?」
——結婚!
そのワードに思考力も警戒心も薄れた俺は、2ラウンドは生でイッちゃってー……果てた。
うん、どうせ子供が出来たら、それはそれで運命だ。そもそもこうして二人が出会ったこと自体が運命なのだから!
この時の俺は、彼女のことを微塵も疑うことなく頭の先から指先まで溺愛し切っていた。
————……★
「この先、破滅の音しか聞こえない……」