「リノア!! ゴミはゴミ箱へって言ったでしょう!!」
「ごっ、ごめんなさいママ……」
「なに大声だしてるんだ、サリア」
「リノアがまた、ゴミをイレイズで消したのよ」
「あー、それはダメだってパパも教えただろ。もう次からやっちゃダメだぞ、リノア」
「はい、パパー」
リノアは甘えた声でハルキに抱きついた。ハルキは本当にリノアに甘い。
「もう! リノアが外でそんな事やったら、どうなるか分かってるの? ハルキがそんなだから、リノアも甘えちゃってるんだよ!」
「まあまあ。リノアもそのうち、分かってくれるって。なあリノア」
ハルキはリノアを抱きかかえると、リノアはケラケラと笑った。
あの日から6年が経った。
私はハルキと結婚し、レクトたちと3人で住んでいた家に住んでいる。アレンは田舎の生活が合わないのか、しばらくすると都会へと引っ越してしまった。すぐに一部上場企業への就職も決め、バリバリと働いているそうだ。
ミレルはすぐ裏手の家を借り、野菜を育てる日々を過ごしている。その野菜は近所でも評判になるほどの出来栄えで、私は何かしらの量術を使っているのではと勘ぐっている。
そして、レクトとリオは……
「おっす、リノアちゃん! レクトおじさんが来たぞ!」
「じゃじゃーん、リオおじさんもいるよ!」
「はーい、ミツキお姉さんも一緒でーす!」
「はあ……いつまで、ミツキさんだけお姉さんなんだよ。本来の意味でもおばさんでしょ?」
「何いってんの! 私まだ26歳だよ。絶対、リノアにおばさんなんて呼ばせないんだから!」
今日は我が家で、お好み焼きパーティーをすることになっている。レクトたち3人は、連れ立って我が家を訪れてくれた。
「ねえねえ、リノアちゃん、レクトおじさんとリオおじさん、どっちが好き?」
レクトがリノアの前に屈んで質問をした。
「リオのカレーすきー。レクトのカレーきらい」
「なっ、なんで俺のカレーは嫌いなんだよ! ってか、カレーの話じゃないよ!」
レクトたちのやりとりに、皆が腹を抱えて笑う。きっと、レクトのカレーは辛口だから嫌いなのだろう。
「それにしても、本当にリノアちゃんは可愛いなあ。僕にも、こんな子どもが出来る日が来るのかなあ」
そう言ったリオは、チラッと横目にミツキを見た。
「リオくんさあ……そういうのダメだよ。出会った頃は可愛かったのに、めっきりオジサンっぽくなってきたんだから……」
「まっ、待ってください! 全然そういうつもりじゃなかったんですよ! ただ、ミツキさんはどう思ってるんだろうなって、つい――」
「ハハハ!! だから、そういうのがダメだって言ってんの!! ほんと、昔からそういうところはポンコツだからな、リオは!!」
レクトは声を上げて笑った。
「そういうお前だって彼女いないだろレクト。――まあ、ミツキもそろそろどっちか選んでやれよ」
ハルキが言うと、皆がミツキを見た。
「も、もう、やめてってば、そういうの!! もう、ホント信じられない!!」
ミツキは顔を真赤にして、声を張り上げた。
そう、レクトとリオは地球に着いたときからずっとミツキのことが好きだ。
ミツキはミツキで、レクトとリオ以外で仲の良い異性はいないはず。
今、私のお腹にいる次の子が産まれるまでに、どちらかを選ぶことはあるのだろうか。
<地球侵略するはずが、守る側になりそうです…… [完]>